白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ37)

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83-1.嘘ページ37

Aside

　「み、見ないで…！」

　手紙を奪い返そうとしたけど、照くんの手紙を握る力が強くてなかなか離せなかった．

岩本「これ、明らかに普通のラブレターじゃないよね？」

　「それは…友達がくれたんだよ！

　ほんとイタズラ好きでさ〜」

渡辺「本当かよ？

　言っちゃ悪いけど、お前友達いねぇだろ」

　「いるよ！大学のお友達！」

深澤「ふぅん…」

　「それはもういいでしょ！

　私、早くお菓子食べたい！」

岩本「…ん、食べよっか」

　照くんがそう言ってお菓子を食べ始めると、翔太くんとふっかさんも続いて食べ始めた．

　ふぅ、とりあえずはごまかせたみたい．

　ドラマで身についた役づくりの能力がここで役立つとは思わなかった．

　…だけど、3人に嘘をついてしまった．

　嘘をついてまでごまかすことだったのかな…

　3人に相談してみれば、何か解決策が出てくるかもしれない．

　けど、ずっと誰かに頼ってちゃダメなんだ．

　私も立派な大人なんだし、自分のことは自分で何とかできるようにならないと．

渡辺「てか大学の友達って誰だよ？

　話聞いたこと無いんだけど」

深澤「確かに、気になる〜」

　「…私、テストで学校に行くことがあるでしょ？

　その時に話しかけてくれたの！

　そしたらすぐ仲良くなっちゃって、この前お家におもてなししたんだ！」

渡辺「はぁ！？男を家に入れたのか…！？」

　「え、うん…ダメだったかな？」

　それも嘘なんだけどね．

深澤「Aかわいいんだから、その子にいつ何をされるかわからないよー？」

　「そんな関係じゃないもん！」

渡辺「でも現在進行形であんな手紙がきてんだろ？」

　「手紙は本当にイタズラなんだって！」

渡辺「そういう話じゃねぇだろ…！」

岩本「翔太、もういいだろ．

　 …A、今後は絶対ダメだからね．

　 Aは自分が有名人だってことわかってる？」

　「…うん」

　今はお説教を喰らっているフリをしているだけ．

　一度嘘をつけば、それを取り繕うためにまた嘘をつかなければいけない．

　そしてそれは、相手のことを信用していない証とも言える．

　私はそれが苦しくて．

　でも…みんなに迷惑をかけたくない．

　嘘をついてでも、このことは私だけで何とかするんだ．

　3人が帰った後にポストを見たら、また新しく手紙が届いていた．