白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ36)

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82-2.手紙ページ36

Aside

　“私の愛は誰よりも深いです”

　“あなたを一生幸せにします”

　“どうして返事をくれないんですか”

　3日連続で届いた手紙．

　正直迷惑だからやめてほしいけど、何の解決策も思い浮かばない．

　だからと言って誰かに相談することもできずにいる．

　これくらいは1人で何とかしなきゃと思って．

　この前ポストにガムテープを貼ってみたけど、それも破られるくらいの執着だった．

　顔も知らない人に求婚されても全然嬉しくないし…

　「はぁ…」

　リビングのテーブルに今まで届いた手紙を広げてため息をつく．

　これ以上放置したらエスカレートするかも…

　そんなことを考えながら、大好きなホットココアを作ろうと立ち上がった時．

　“ピンポーン”

　「ひぃっ…！？」

　突然のインターホンに私はビクつく．

　もしこの手紙を書いてる人だったら…

　私は恐る恐るドアアイを覗いた．

深澤『A！遊びに来たぜー！』

岩本『ん』

渡辺『腹減った〜』

　3人がビニール袋をたくさん持ってドアの前に立っていた．

　私は嬉しくなっちゃって、勢いよく鍵を開けた．

　「みんなどうしたの！

　連絡も無しに来るなんてー！」

深澤「どうせ暇してるだろうと思ってたからな！」

岩本「ふっかと翔太がAに会いたいって言ってたから」

渡辺「おい！言わねぇ約束だろ！」

　「ふふっ、嬉しいよ！どうぞ入って〜！」

　中にゾロゾロと3人が入ってくる．

　ホットココアを4人分作って、みんなが座っている机にカップを運んだ．

深澤「お、あんがとね〜」

岩本「…ん、美味しい」

渡辺「俺たちもジュースとかいろいろ持ってきたから」

　「うん、ありがとう！」

　4人席の机が埋まったのは初めてで．

　このほのぼのとした時間がたまらなく心地よかった．

　照くんからお菓子がたくさん入ったビニール袋を受け取って、再びキッチンへ向かう．

　食器棚から大きめのお皿を出して、お菓子をどんどん並べていく．

　「みんな！お菓子持ってきたよ！」

　すでにリビングのソファに並んで座っていた3人の前にあるテーブルにお皿を並べる．

　あっという間に空になったカップを回収して、またキッチンを往復した時．

岩本「…何これ、A」

　照くんが例の手紙を開いていた．

　「あ…！」

　マズい、隠すの忘れてた…！