白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ35)

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82-1.手紙ページ35

Aside

　「うぅっ…」

　昨日は完全に飲みすぎた．

　隣にいたラウに何かいろいろとされた記憶があるんだけど、何をされたかは詳しく覚えていない．

　結局はお酒の勢いに任せてみんなとお祭り騒ぎしちゃったのは覚えている．

　ヨロヨロになって帰ってきたのも…笑

　それで、案の定の二日酔い．

　ライブが終わって今日から1週間はまるまるオフだから良かった．

　今日仕事行けって言われたら絶対に無理だった…

　今日はどこにも行かないで、大人しく家で寝てよう…

　お出かけするのは明日からかな．

　とりあえずお水だけ飲もうと寝室から出る．

　あ、お手紙とか届いてるかな？

　ライブでいろんな場所に行っていてしばらく家を開けていたし、何か来てるかも．

　私が住んでいるのはごく普通のアパート．

　アーティストはみんな良い所に住んでるって思われがちだけど、全然そんなことは無くて．

　私みたいな平凡な人はこういった普通の所がちょうどいい．

　変に特定されたりしないからね．

　私は玄関のドアに付いているポストを開いた．

　そこには数枚の手紙が入っていた．

　私はお水を飲みながら手紙を1枚ずつ見ていく．

　家賃や水道代の支払いについてだったり、他にもお金についての手紙が何枚かあった．

　うぅ、早く振込に行かなきゃ…

　そして最後の1枚を開く．

　「…え？」

　私は驚愕した．

　誰かの手書きで…

　“ずっとあなたを見てました。

　好きです。結婚してください。”

　なんて書かれていたんだから．

　「誰…！？」

　メンバーのみんなの字体じゃない．

　だからと言って他のスタッフさんの字体でも無い．

　そもそも私の家の場所を知っているのは、メンバーのみんなだけのはず．

　あとは出前の人とか…？

　いやいやいや、これは完全に…

　いわゆる『ストーカー』ってやつなのでは…！？

　「求婚する覚悟があるなら名前くらい書けよ！」なんて思ってしまった自分を殴りたい．

　目立って特定されることが無いような場所に住んでたのにぃ…

　いや、今は考えるのはそういうことじゃない．

　「結婚してください」なんて当然無理な話で．

　こ、これは返事を書くべきなのか…？

　と、とりあえず一旦無視して放置してみよう．

　どうせドッキリか何かでしょ…！

　そんな簡単に騙されないんだから…！