白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ34)

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81-2.乾杯ページ34

ラウールside

　「みんなずるいよぉ….

　好きとか愛してるとか簡単に言ってぇ…

　私には全然言ってくれないのにぃ…！」

　Aちゃんが俺を弱々しく抱きしめる．

　Aちゃん、そんなことを思ってたんだ…

　そっか…Aちゃんは俺たちのことが大好きなんだもんね．

　でも、俺たちがAちゃんに「好き」を直接言葉にして伝えちゃダメなんだよ．

　“メンバー”としての関係が終わっちゃうかもしれないから．

　それが怖くて…それでも何とか「好き」を伝えたくて、俺たちはいつも頑張っている．

　だけどやっぱり言葉にして伝えないと、Aちゃんに俺たちの「好き」は伝わらないんだ．

　「私らってみんらのこと…大好きで愛しれるのにぃ…」

　Aちゃんが俺の服をギュッと掴む．

　Aちゃん、ファンのみんなに嫉妬してるのかな…？

ラウ「Aちゃん、こっち向いて？」

　「…？」

　上目遣いで俺を見てくるAちゃん．

　俺は自分のジョッキでAちゃんの横顔を隠して…

　“チュッ…”

　「！」

ラウ「…俺たちとこんなことできるの、Aちゃんしかいないよ？

　それでも俺たちの…俺の気持ち、伝わらない？」

　Aちゃんから伝わるお酒の匂いで俺まで酔いそうになる．

　いや、もうすでに酔っていたのかもしれない．

　「はっ…んんっ…」

　俺は勝手に酔いのせいにして、Aちゃんの唇を奪う．

ラウ「ぷはっ…どう？伝わった？」

　「はわわっ…！」

　顔を真っ赤にして慌てるAちゃん．

　恥ずかしいのか、嬉しいのか、はたまたその両方なのか…

　どっちにしろ、世界で一番かわいい俺たちのお姫様であることに変わりは無い．

佐久間「もっと食べ物頼もうぜー！」

渡辺「俺焼き鳥食いてぇ」

岩本「甘いもの挟んでいい？」

阿部「俺ウイスキーもう一杯！」

　目の前で騒ぐおじさんたちは俺たちのことなんて全く気にしてなさそう．

深澤「ラウー、何か飲むかー？」

ラウ「うーん、じゃあ俺もお酒いっちゃおうかな！」

深澤「りょーかい、Aは？」

　「わ、私も…！」

　お酒の入ったジョッキが二つ届く．

ラウ「Aちゃん、もう一回乾杯しよ？」

　「へ？」

ラウ「俺たちのお姫様はいつだってAちゃんなんだよ．

　そんなお姫様と一緒にライブができたことに乾杯♪」