白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ31)

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79-2.君のままでページ31

宮舘side

宮舘「不安なんだよね、わかるよ．

　俺だって不安が無いわけじゃないから．

　でも、Aがいてくれたら何でもできる気がする」

　「…！」

　後ろからAの手をギュッと握って温める．

　「…舘さんには敵わないや．

　私のこと何でもお見通しなんだもん」

宮舘「そりゃあね、Aのことが大切だから」

　「みんないつもそうやって…」

宮舘「本当のことなんだよ．

　 Aのことはいつだって気にかけたい」

　「迷惑ばっかりかけてるよ…」

宮舘「迷惑なんかじゃないよ．

　俺たちが心配したいからしてるだけ．

　 AはいつでもAらしく、笑ったり泣いたり悩んだりすればいいんだよ」

　「私だってもう大人だもん…！」

宮舘「大人だからって我慢しないといけないことは無いでしょ？

　泣きたい時に泣いて、悩んだら俺たちに相談する．

　俺たちはいつだって、Aの味方なんだから」

　「…ありがとう、舘さん」

　Aが俺の手をギュッと握り返してきた．

　「でもでも、舘さんたちが抱え込むのもダメ！

　私だってメンバーなんだから頼ってほしい！」

宮舘「ははっ、ありがとう．

　本当に頼れるお姫様だよ」

　「…えへへっ！」

　いつものAらしい笑顔が戻ってきた．

宮舘「もう遅いし、そろそろ帰ろう？

　お手をどうぞ、白雪姫」

　「うん！」

　手を繋いで、Aの家へ向かって歩き始める．

　こうしてAと手を繋いで歩くのも久しぶりだ．

　最近は予定が合わなくてデートもできていなかったし、今この時間でその空いた時間を補えたらいいな．

宮舘「今度オフが重なったらどこか出かけようか」

　「デート！したい！」

宮舘「じゃあ…美術館とかどうかな？

　静かな場所で一緒に歩こうよ」

　「いいねー！私行ったこと無いから楽しみ！」

宮舘「じゃあ決まりだね」

　「うん！楽しみにしてるね！」

　やっぱり、Aにはいつでも笑っていてほしい．

　どれだけ辛いことがあっても、AはAのままでいてほしい．

　明るくて元気で優しい、俺の大好きな人のままで．

　俺たちも頑張らないと．

　Aのためにも、今度のライブは絶対成功させるんだ．

　Aの少し冷たい手を、俺は大事に大事に握る．

　いつかこの小さな手を、俺がずっと引けるようになりたい．