白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ4)

今日:14 hit、昨日:38 hit、合計:35,015 hit

63-1.ディナーページ4

渡辺side

　月が綺麗な夜．

　今夜はAとディナーの約束をしている．

　Aが少し遅れるからと、俺は先にレストランの中にいた．

　Aは食べることが大好きだし、最近いろいろと大変そうだったから、疲れが取れればいいと思って、1週間前に俺が招待した．

　夜景も最高に綺麗に見えるし、店もかなり悩んで決めた．

　Aを喜ばせるには完璧だ…！

　「…あ、翔太くーん！」

　俺に手を振りながら、Aが来た．

　薄めのワンピースに、カラーコートがよく似合っている．

渡辺「おつかれ、A．

　迷わずに来れたか？」

　「もちろんだよ！

　 …わあ！綺麗だね…！」

　早速Aが窓から見える夜景に目をつけた．

　窓に手を合わせて、目を輝かせる．

渡辺「気に入ってくれたか？」

　「うん！

　今日は誘ってくれてありがとう、翔太くん！」

　夜景がAの笑顔を照らす．

　…俺、やっぱりAのこの顔が好きだわ．

渡辺「じゃ、もう頼んじゃおうぜ．

　腹減ったろ？」

　「うん！」

　Aが席に座って、今度はテーブルに広げられていたメニューに目を輝かせる．

　「何にしようかな〜！

　翔太くんは何にするか決めた？」

渡辺「俺は黒毛和牛のローストビーフと特製スープ、ワインも頼むつもり」

　「オシャレだねー！じゃあ私は…

　この“イベリコ豚のステーキ”にしようかな？

　イベリコ豚ってどんな味なんだろう？」

店員「イベリコ豚は、ナッツを思わせるようなドングリの風味がしますよ」

　いつの間にか店員が近くに来ていた．

　「お肉なのにですか！？

　私、気になるからそれで！」

店員「かしこまりました」

　店員がキッチンの方へ向かった．

　「楽しみだね、翔太くん！」

渡辺「そうだな」

　Aが元気そうで良かった．

　俺たちはスケジュールを共有しているのだが、最近のAの詰め込み具合が半端じゃなかった．

　めめとやっているドラマの撮影や新曲のレコーディング、舞台の稽古など、オフがほぼ無いに等しかった．

　それで明日がオフっていうのを知って、俺は1週間前に計画を立ててたってわけ．

渡辺「…本当に良かったのか？

　今日も疲れてんじゃ…」

　「うぅん、全然だよ！

　翔太くんとご飯なら絶対行くし！」

　とにかく笑顔なA、逆に不安になってくる笑．