白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ27)

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76-3.約束ページ27

岩本side

岩本「いいよ、俺もAと寝たくてずっと待ってたから」

　「えへへ、嬉し〜」

　Aがまたふにゃっとした笑顔を見せてくる．

　俺は襲いたい気持ちを必死に我慢して、Aとベッドに潜った．

　「照くん、あったかぁい…」

　Aがベッドの中で俺に抱きついてくる．

岩本「A、約束はちゃんと守ろうね．

　俺が飲みに行って全然連絡してなかったら、Aは心配してくれるでしょ？」

　「心配するぅ！」

岩本「それと同じ．

　さっきは怒っちゃったけど、Aが心配なんだよ」

　「…うん、ありがとぉ、照くん…」

　Aが俺に笑いかけて、ウトウトし始める．

　いつもの大きな目も、眠くて半分くらいしか開いていない．

岩本「おやすみ、A」

　「おやすみぃ…」

　Aは目を閉じると、一瞬で眠りについてしまった．

　はぁ…なんだか疲れた．

　約束を守らなかったAに対して怒らなければいけなかったのに、最終的にはぐらかされた気分．

　明日の朝目が覚めたら、ちゃんと約束は守ってほしいと伝えないと．

　Aが大切だからこそ、心配する．

　それにしても、一杯だけでこんなに酔うなんて…

　…やっぱり、Aを飲みに行かせるのはやめよう．

　他の男に襲われたりでもしたら大変だ．

　それに、酔ってかわいくなったAを誰にも見せたくないしね．

　よく眠っているAの唇にキスをして、俺も眠りについた．

　次の日の朝、俺が目を覚ましたら、隣にAがいなかった．

　かなり焦って、服がほとんど脱げた状態のまま寝室を出た．

　キッチンからカタカタと音が聞こえてきて、卵の甘いいい匂いがする．

　「…あ、おはよう！照くん！」

岩本「A…」

　Aが俺のブカブカのシャツを着て、キッチンに立っている．

　「朝ごはんちょうどできたから、一緒に食べよう？」

　Aがテーブルに卵とベーコンが乗ったトーストと、ホットコーヒーを並べる．

　「その…昨日約束破っちゃったから、そのお詫びとして！」

岩本「…嬉しい」

　俺はAを後ろから抱きしめる．

　毎日こんな感じで、朝起きたらAが俺の家にいて、美味しいご飯を作ってくれたらいいのに．

岩本「いただきます」

　「うん！」

　いつも食べているはずのトーストが、今まで食べたことないくらいに美味しく感じた．