白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ26)

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76-2.約束ページ26

岩本side

　でも、怒らないといけない時はちゃんと怒らないと．

岩本「酔ってるからって誤魔化さないよ、俺は．

　ちゃんと連絡してくれないなら、もう飲み会なんて行かせないよ？」

　「だってぇ…」

岩本「約束したよね？

　その感じだと三杯は飲んだでしょ」

　「飲んれないっ！」

岩本「絶対飲んだ」

　「飲んれないもんっ！」

　Aは嘘をつかない性格だから、あまり疑いたくない．

　だけどこの酔っぱらい具合、疑わない方がおかしい．

岩本「Aは嘘つかないんじゃないの？

　飲んだなら飲んだって言ってくれればいいの」

　「飲んれないもんっ…

　なんで信じてくれないの…！」

岩本「っ…」

　Aが下を向いて、唇を噛む．

　なんだか泣きそうだし．

　まさか、本当に一杯だけ…？

　「…私、帰る！」

岩本「待て…！」

　玄関のドアを開けて帰ろうとするAを、俺は腕を掴んで止めた．

　「離してぇ！

　信じてくれない照くんなんて嫌いっ！」

岩本「っ…」

　この感じ、一杯だけの約束は守ってたんだ．

　酔っ払ってでも「嫌い」と言われるの、結構しんどい…

岩本「ごめん、俺が悪かった．

　でも、AもAだよ？

　約束ごと二つしてたの、覚えてる？」

　「お酒は一杯だけと、終わったら照くんに連絡する！」

岩本「それで、結局俺に連絡したっけ？」

　「…してらい」

岩本「何か言うことあるよね？」

　「…ごめんらさい…」

　ようやくいつものAに戻ってきた．

　申し訳なさそうに俺の方を見る．

岩本「…ん、ちゃんとごめんなさいできたからいいよ．

　俺も疑ってごめんね？」

　「ほんとらよっ…うわあっ！？」

　Aがふらついて転びそうになったのを、俺は咄嗟に抱き止めた．

岩本「…A、明日休みでしょ？

　今日はもう寝よっか．

　お風呂は明日にしよう」

　「うゆ…」

　だんだんAの反応も疎くなっている．

　俺はAをお姫様抱っこして、ベッドまで運んだ．

岩本「俺の服貸すから、着替えられる？」

　「むりぃ…照くん、着替えさせてぇ…」

岩本「えー…」

　俺はAを着替えさせる．

　ダボダボのシャツと、酔って火照ったAの顔が、俺の理性を壊しにきている．

　「照くん、一緒に寝よぉ？」