白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ25)

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76-1.約束ページ25

岩本side

岩本「ダメ、絶対行かせない」

　「なんで照くんが口挟むの！？」

　今日は俺とAの2人で収録があった．

　俺が帰りにAを送ろうとしたら、お偉いさんに飲み会に誘われたらしくて．

　「私の好きな女の人も来るって言ってたもーん！」

岩本「嘘かもしれないでしょ．

　おじさんたちはAと遊びたいだけだって．

　っていうか、俺たち以外とは飲まない約束でしょ？」

　「やだーっ！行くのー！」

　いきなりなんでこんな…

岩本「そんなに飲みたいならさ、おじさんたちと飲まないで俺たちと飲もうよ」

　「…やだ」

岩本「なんで？」

　「…みんなに話せないこと話すもん」

岩本「話せないことって何？」

　「話せないもん！」

　急に駄々をこね始めるA．

　本当は行かせたくないんだが…

　たまには、俺たちとは違う人と楽しく話す機会もあっていいかもしれない．

岩本「…じゃあ、お酒は絶対に飲まないって約束して」

　「飲まなかったら飲み会じゃないじゃん！」

岩本「Aが酒弱いの、自分でもわかってるでしょ？」

　「わかってるけど…」

岩本「Aが心配なんだよ．

　飲んでも一杯までね」

　「…わかった」

岩本「んで、終わったらすぐ俺に連絡して．

　迎えに行くから」

　「…うん」

　Aがトボトボと歩いて行ってしまった．

　ちょっとキツく言い過ぎたかもしれない．

　けど、Aが心配なのは本当のこと．

　…数時間後．

　時計は0時を回ろうとしていた．

　家でAからの連絡をずっと待っている．

岩本「はぁ…」

　いい加減迎えに行こうと思って、俺が立ち上がった時．

　“ピンポーン”

　家のインターホンが鳴った．

　Aかと思って、俺はインターホンの画面を覗く．

　『ひかるく〜ん！』

　画面にはAの顔面がドアップで映っていた．

　俺はため息をついて、玄関のドアを開ける．

　「たらいまぁ〜！」

岩本「おっと…！」

　ドアを開けた瞬間に、Aが飛びついてきた．

　「えへへ、ひかるく〜ん！」

　Aが顔を俺にすりすりとさせてくる．

　しかし、Aには叱らなければいけない．

岩本「A、終わったら連絡してって言ったよね」

　「えへへ、ごめんねぇ？」

　Aがふにゃっとした笑顔で、俺を見上げてくる．

　うっ、かわいい…