白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ17)

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72-2.優しい人ページ17

Aside

深澤「収録まで時間あるし、ここでゆっくりしてて．

　なんか温かいもの買ってくるよ」

　「あ、ありがとう…！」

　ふっかさんがニコッと笑ってくれて、楽屋を出て行った．

　何分か経った後、私の大好きなおしるこ缶を持って来てくれた．

　「ありがとう、ふっかさん！」

深澤「ん、どういたしまして」

　ふっかさんに頭をポンポンされる．

　私はおしるこ缶を開けて、一口飲んだ．

　程よい熱さが体全体に染み渡る．

深澤「ふふっ、幸せそうな顔するね〜」

　椅子に座って、ふっかさんが私をニコニコしながら見てくる．

　「…ふっかさんは私に優しいね」

深澤「そんなの知ってるよ〜」

　ふっかさんはとにかく優しい人．

　いつだって私のことを第一に考えてくれている．

　でも、たまに思う時がある．

　「でもふっかさんは、他の女の人にも優しいんでしょ…？」

深澤「…」

　「わ、私、何言ってんだろ…

　ごめんね、ふっかさん…」

　私はわがままだ．

　ふっかさんはこんなにも優しくしてくれているのに、他の女の人にもその優しさを振り撒いていると思うと…

　私だけに優しくしてほしいって思ってしまう．

深澤「…まぁ、そうだね．

　人には基本優しくしてあげようとは思ってる」

　やっぱり…

深澤「…でも、それって人間関係での暗黙のルールじゃない？

　良い印象与えておかないと、自分もそうだしグループの印象も悪くなっちゃうからね」

　「そう、だね…」

　ふっかさんの言う通りだよ．

　誰にでも優しくするのは当たり前．

深澤「…もしかして、不安にさせちゃってる？」

　「え…？」

　ふっかさんは椅子から立ち上がって、私の目の前に来た．

　しゃがんで私と目線を合わせる．

深澤「大丈夫だよ、A．

　特別に優しくしてあげたいと思う女の子は、Aしかいないから」

　“チュッ…”

　そう言って、ふっかさんがおでこにキスをしてきた．

　「！？」

深澤「そうやってすぐ真っ赤になるAも、最高に優しくしてあげたくなるしね♪」

　「わーっ！わかったからー！」

　大人の余裕を見せてくるふっかさんに、私は目を合わせられなくなる．

　…でも、私だけ特別か．

　ふっかさんが優しいことはたくさんの人が知っている．

　でも、私にはもーっと優しいんだって．

　特別か…嬉しいなぁ…