白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ15)

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71-2.弟妹ページ15

ラウールside

　「そ、そんなつもりじゃ…！」

　Aちゃんが泣きそうな顔をしている．

　身長差がかなりあるから、Aちゃんから見たら、今の俺って結構怖いんだろうな…

ラウ「Aちゃんは俺のこと、弟みたいに思ってるかもしれないけど…

　俺だって1人の男だよ？

　一緒にいるのに相手されないなんて、そんなの…」

　そんなの嫌だって伝えたいのに、それじゃあまるで俺たちが…

　「ラウ…」

　Aちゃんが、俺の目元にそっと指を添えてきた．

　…俺はいつの間にか泣いていたらしく、Aちゃんが涙を掬ってくれた．

　その後、Aちゃんが俺のほっぺに手で触れてきて、綺麗な目で見つめてくる．

　Aちゃんの手…あったかいな…

　俺は思わず、Aちゃんの手に自分の手を重ねてしまう．

　するとAちゃんが、俺の顔を自分の方にぐいっと寄せてきた．

　そして…

　“チュッ…”

　唇にキスをしてきた．

ラウ「…！」

　「…ごめんね、ラウ…

　私、ラウに酷いことしちゃったよね…

　 …私なりのごめんねの気持ち、受け取ってくれる…？」

　Aちゃんがとろんとした目で、俺をじっと見つめてくる．

　俺、やっぱりAちゃんには勝てないなぁ…

　普段は子供っぽくてかわいいのに、俺が男を見せようとすると、Aちゃんは女を見せてくる．

　でもそれはAちゃんにしか出せない、優しさで溢れた美しさ．

　今この瞬間だって、俺はAちゃんの虜なんだ．

ラウ「Aちゃん…」

　俺はAちゃんに口を預けた．

　Aちゃんが優しさで包み込んでくれて、俺は涙が溢れてしまう．

　俺がAちゃんに怒っていたはずなのに、なんで泣かされているんだろう笑．

　「はぁっ…これで許してくれる？」

ラウ「…うん…//」

　口を離してAちゃんを見ると、色気に塗れた綺麗な顔をしていた．

　「めめくんの所に戻ろう？」

ラウ「うん…」

　周りの人は知らないだろうけど、俺たちだって立派な大人なんだぞ．

　俺だって人並みに色気は出せるし、何よりAちゃんは男を虜にするのが上手い．

　その時の俺たちは“弟妹”じゃなくて、“男女”として存在するんだろうな．

目黒「お待たせ…あれ、なんか2人とも顔赤くない？」

　「何でもないよね、ラウ？」

ラウ「うん…笑」

目黒「？？」