白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ13)

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70-2.傷ページ13

Aside

　どう説明すればいいのかわからなくて、私は言葉選びが上手くできなかった．

　慌てている私を見て、佐久間くんがくしゃくしゃな顔でニコッと笑う．

佐久間「…良かった、何かあった訳じゃないんだね…」

　佐久間くんは安心したかのように、そっと肩をなでおろした．

　「えっと…傷、どうしよう…」

佐久間「…Aちゃん．

　腕、見せて？」

　「あ、うん…」

　私は佐久間くんに傷をつけた腕を見せる．

　自分で言うのも難だけど、結構怖い…

佐久間「あんまり深くなくて良かった．

　救急箱…あ、あった」

　佐久間くんが、救急箱から消毒と包帯を取り出して、私の腕の手当てをしてくれる．

　包帯を巻いてくれる際に、佐久間くんの温かい手が触れてきた．

　優しくて、私を想ってくれている温かみ…

佐久間「…はい、できたよ」

　「ありがとう、佐久間くん．

　その…ごめんね」

佐久間「…ほんと、心配したよ」

　佐久間くんが私を優しく抱きしめてくれた．

佐久間「俺も怒鳴ってごめん．

　気持ちが安定してなかったんだよね」

　「そんな！佐久間くんが謝ること無いよ…！」

佐久間「うぅん、謝りたい．

　 Aちゃんに傷を作ったこと、防げなかったから」

　佐久間くん、とんでもなく優しい人だな…

　私が自分でやったことなのに、自分のせいだって…

佐久間「でもどうしようか、この傷…」

　「化粧で隠せるくらいだし、そんなに気にしなくても…」

佐久間「ダメだよ、ちゃんとそういうところも考えなきゃ．

　 Aちゃんの肌は細くて綺麗なんだから、傷を残しちゃダメ」

　「うぅ…」

佐久間「…そうだ、俺がおまじないをかけてあげるよ」

　「おまじない？」

佐久間「そ！傷が早く治るおまじない」

　佐久間くんは再び私の腕を手に取って…

　“チュッ…”

　「！？」

佐久間「できた♪」

　 …Aちゃん、もうこんなことしない？」

　「うん、しない…」

佐久間「気持ちが落ち着かないんだったら、俺たちと話そう？

　理由はどうあれ、Aちゃんが傷つくのは嫌だよ…」

　「うん、ごめんなさい…」

　佐久間くんは私のことを大切に想ってくれている．

　どれだけ気分が不安定でも、もうあんなことはしない．

　佐久間くんのおまじないが、次の日には効いていた．