白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ11)

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69.キスシーンページ11

目黒side

目黒『愛してるんだ…舞…！』

　『拓海くん…！』

　AとのW主演でのドラマの撮影で、問題となるキスシーン．

　ピンクのカラコンを入れて、うるうるした目を向けるA．

　ここは見ている人が1番感動するはずのシーンなんだけど、役者である俺が緊張してしまう．

　いや、演じ切ってみせる…！

　俺はなんとかAに口を寄せようとしたんだけど…

監督「カット！ちょっと2人とも！

　そんなに緊張されるとこっちが困るんだけど！？」

目黒「す、すみません…」

　「…//」

　顔を真っ赤にするA．

　多分俺も今、すごい顔が赤いと思う笑．

監督「普段からイチャついてるのか知らないけど、これは役なんだからね！

　しっかりしてよ、期待の若手なんだから！」

目黒「は、はい！」

　「すみません！」

　2人で頭を下げると、監督や後ろにいたスタッフさん達が笑った．

監督「でもまあ、その恥ずかしがってる感じ、なんかいいよ！

　じゃあさ、いつもの2人みたいな感じでやってみてよ！」

目黒「いつもの…？」

　役を意識するんじゃなくて、AのことをいつものAとして見るってことか．

　それだったらできそうだ．

　AはいつものAで、名前が『舞』になっただけ．

監督「いくよー！アクション！」

　俺はベッドにAを押し倒す．

　焦ってるAの顔が、一瞬で赤くなる．

目黒『舞…愛してるんだ…』

　『拓海くん…』

　ほんと、綺麗な顔だな．

　俺はAに口を寄せて…

　“チュッ…”

目黒「…愛してる」

　「っ…！」

監督「カットー！今の良いんじゃない！？」

　俺とAは一気に力が抜けて、ベッドに横になった．

　「めめくん、カッコよすぎだよ…！」

目黒「Aこそ、照れてんのかわいすぎ…」

　「て、てか！最後のアドリブだったでしょ！？」

目黒「だって、いつもみたいにやれって言われたから…」

　「いつもって…！//」

監督「よし！今の採用ねー！」

　あ〜、恥ずかしいの極み．

　でも、なんか新鮮な感じがする．

　いつもとは違うのに、いつもと同じ…結構悪くないかも．

　Aと一緒に撮影できて嬉しいし．

　でも、他の男にAのかわいいところ見られるのは嫌だな…

　そんなことを考えながら、今度はプライベートでのキスをAにした．