白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ1)

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62-1.提案ページ1

Aside

　今日のパフォーマンス、最悪だったな…

　歌詞も途中で飛んじゃったし、ダンスも少し間違えちゃった…

　絶不調の理由は明確．

凛花『今夜、近くの公園で会いましょう．

　ピアス、返してほしいでしょう？』

　あれは何と言うか、まさに悪魔の囁き…

　タダで帰れるとは思っていない．

　何かしらの試練は待っているはずだ．

　それでも…あのピアスは返してほしい．

　佐久間くんがくれた、大事な宝物だから．

　それに、さっきみんながいた時は怯えちゃったけど、私は強くなるって決めたんだ．

　音楽番組の収録が終わって、私は言われた通りにスタジオの近くにある公園に行った．

　灯りがどこにも無くて、暗闇に包まれている．

？「こんばんは、白雪さん．

　素敵な夜ですね♪」

　カツカツとヒールを鳴らして歩いてくる凛花さん．

　いろんな意味で、闇が似合っている．

　「…ピアス、返してくれますか．

　大事なものなんです」

凛花「あら、そんなに急がないで？

　ピアスなら返すわよ．

　でもその前にひとつ、提案があるの」

　「提案…？」

　凛花さんが私に近づいてきて、キツめの香水の匂いが鼻にツンとくる．

凛花「…白雪さん、私たちのグループにこない？」

　「え…？」

　あまりにも予想外すぎる質問に、私は混乱する．

　この人、私のことが気に食わないんじゃ…

凛花「私、今まで白雪さんに失礼な態度をとっちゃってたかもしれないのだけれど…

　実は私、白雪さんのことがずっと心配だったの．

　あんな男だらけのグループにいて、白雪さんは辛いんじゃないかって…

　白雪さんは歌もダンスもすごく上手だし、私たちのグループにくればもっと上を目指せると思うの！」

　「私は…」

　凛花さんの言う通り、今までたくさん辛いことがあった．

　私がみんなの邪魔になっているんじゃないかって、何度も何度も悩んだことがある．

　でもその度に、支えてくれたのはみんなだった．

　大丈夫だよ、俺たちがいるよって、何度も何度も救われた．

　みんながいたから、今の私がいる．

　確かに女性グループに入れば、私にとっての世界が広がるかもしれない．

　でも…もうすでに、SnowManというグループが、私の居場所になってしまっている．

　私にとってみんなは、かけがえのない大切な存在だから．