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「そちらの料理にはこちら、1950年ものの“プリューレ・デュ・モナスティ・デル・カンプリヴザルト”がオススメです」
２年前から、ずっと憧れだったこのレストランでソムリエとして働いている私。
まかない付きのうえ、給料もそこそこという最高の条件。
三ツ星をとったレストランとだけあって、毎日美味しいまかない。
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今日は楽しみにしていた約束の日。
待ち合わせは“今昔”という目立たない居酒屋。
家からタクシーで10分ほどの所にある今昔。
お店の前でもう一度鏡を見直す。
前髪を整え、いざ……！
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「へー！すげぇじゃん！」
今昔特製のタレにつけた唐揚げを頬張りながら、楽しく過ぎていく時間。
「いやぁ、でもあんな所で会うとは思わなかったなー」
A「ほんとだね……いつぶりだっけ？」
「高校の卒業式からだから、８年ぐらい？」
A「もうそんなに経ったんだ……」
彼は同級生の有岡大貴。
昨日の５分遅刻の男の人。
“昔好きだった人”ということもあって、気合いを入れていつもより少し高めのヒール。
畳床の個室に通してもらったので、不必要だった紺色のヒール。
大貴はというと、モノトーンで統一させたオシャレな服装。
首につけてあるネックレスが気になるが、服の中に収めているため細かくは見えない。
隣にはキャップと、少し大きめのリュックが置いてある。
昨日とは少し違う雰囲気に高まっていく心臓。
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A「大貴はどんな仕事してるの？」
大貴「俺はね……汗がキラリと輝く大工さんですよ！」
少しだけのドヤ顔で、鼻の下を人差し指でさすった大貴。
大貴「まあ、仕事っていってもまだ見習いだから、仕事っていう仕事はさせてもらってないんだけどね」
A「へー、大変そうだね」
大貴「うん、でもやりがいのある仕事だよ。
ときどきね、担当したお客さんたちが俺が働いてる事務所に来たりすんのね。
この前、たまたま親方とお客さんが話してるところ見たのよ……」
A「？」
そこまで話して、急に俯き黙ってしまった大貴。
部屋には、店員さんの威勢のいい声だけが聞こえる。
急に訪れた沈黙に戸惑っていると、バサっと顔を上げ、満面の笑みで、
大貴「お客さん、“ありがとうございました”って親方と楽しそうに話してたのよ！」
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作者名：みにおん | 作成日時：2017年12月20日 23時
