違う！ (ページ6)

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少女6人ページ6

警察の人にとわれると、エミがヒョコリと顔を出す

『エミ。どうしたの？』

〈暇なもので〉

ナナは消えてしまった
消えたよりは、また何処かに行ってしまったと言ったほうが正しいのか。

「ナナちゃんは？」

〈あなたみたいに暇ではないのでね
行こう。A〉

『えっ、あっ、ちょっ…ちょっと！』

グイグイと引っ張られて連れて行かれてしまう私を佐藤さんはじっと見つめた

「シェアハウスの同居人……か…」

私を冷たく見ているその目はいつの間にやら大きく開いていた

「案外知らなくてもいいこともあるんだけどね…」

もとの、ふんわりとした細目の優しい顔に戻ると、彼はうさぎをポケットに入れる。

「さて、また後でね」

不敵にニッコリと笑う
そんな彼の目を見る暇もなく、エミは私を近くの公園のベンチへと座らせた

〈あのね、うさぎには沢山の菌がいること言ってませんでしたっけ…？〉

怒ったときに額に線ができるのは彼女そっくり

〈私はあなたが一番心配だよ…〉

そうやって私の反応がないといい方を優しくするのもそっくり

〈ねぇ、聞いてるの？〉

『んぁっ？！痛い痛い！きいてるよ〜！』

急に耳をつねられる
仁王立ちのエミは大きいため息をついて私の前に立ちはだかった

「お家に帰ろう」

『嫌だ』

そんなやり取りをしたのも覚えている

〈帰るよ〉
『やだ』

ふと、足が動いた

その後ろをちょこちょことついてくるエミ

フラフラと歩く私に対ししっかりとした足で歩く彼女

この時間だけで幸せなんだよな

と

赤信号の道路に飛び出した

うるさいクラクションの割には
すぐに急ブレーキがかかり

轢かれずにすんだのだった