雪降る夜に誘う夢【雪/黒】 (ページ5)

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「お疲れさまですー！」

今日も1日。

家に帰ったらとりあえずお皿洗わなきゃ。

さすがに溜まってきちゃってるし…

お店を後にし、外に出ると。

今日もはらはらと雪が降っていた。

最近、雪が多いなぁ…

そろそろ本格的に冬っぽくなってきた。

あ、そうだ、冬用のコート出しちゃおうかな。

.

ラ「Aちゃん！！」

「え、らうちゃん！？どうしたの？」

名前を呼ばれて振り返ると、白シャツにエプロン姿のまま、息を切らすらうちゃんがいた。

ラ「忘れ物！」

そう言って差し出されたのは、家の鍵を入れている小さなポーチ。

「え！？うそ！？」

ラ「ねぇ、気をつけなよマジで！」

「わざわざ渡しにきてくれたの？」

ラ「当たり前でしょ！？」

らうちゃんの大きな手から、それを受け取ったとき。

一瞬、手が触れた。

「ごめん…、ありがとうほんとに。」

ラ「オレじゃない奴が拾ってたらやばかったんだからね！」

ぽん、と優しく頭を叩かれ、たしなめられた。

「すいませんでした…笑」

ラ「もう、どっちが年上かわかんないね？笑」

また、無邪気にそう笑うと。

ラ「じゃあ、気をつけて。」

「…ありがとう。」

彼は、再び足早にお店へと戻っていく。

陽が落ち、雪がちらつく暗い道の向こうに、小さくなっていく白い背中を見送った。