episode.29 -fin- ページ32
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引かれた手を、振り解くこともできず。
結局そのまま隣を歩くしかない。
でもこの混雑では、彼の言う通り迷子になりそう。
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人混みに背中を押され、彼との距離がどんどん近づいていく。
「あ、あの…さあ…」
蓮「…ん？」
彼の目は見ずに話しかけたけど、こちらを振り向かれたのがわかる。
「蓮くんは…なんで今日ここに来たの？」
蓮「……それはAちゃんも同じじゃない？」
「そ…そうだけど…」
私が言葉に詰まると、優しい笑い声が聞こえる。
顔を上げると目を細めて微笑む、夢ではない、現実の彼の姿があって。
なんだか恥ずかしくて、すぐに目を逸らした。
蓮「それに俺は、何でAちゃんに出会ったか、気づいちゃったしな…」
「え、え、どういうこと？」
蓮「うーん……まだ内緒。」
そう言うと、ニヤリと口角を上げる。
蓮「せっかく会えたし、これで終わらせるわけにはいかないんだよね。」
「えっと…それはどういう…」
蓮「よかったら、今度はちゃんと待ち合わせして会おう。」
「…え…」
顔を上げ、やっと彼と目を合わせる。
印象的な黒い瞳に射抜かれて…少し震えた。
蓮「…だめかな。」
繋がれた手に力がこもる。
「…い、いいよ……」
私の答えに、蓮くんは、安心したように笑みをこぼす。
当時と同じように、心がふわりと軽くなる感覚。
それに任せて軽く手を握り返す。
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ホワイトクリスマス。
聖なる夜は、不思議なことが起きるもの。
雪に導かれた出逢いは、どこに行くのかな…
見上げた夜空からは、ふわふわと雪が舞っていた。
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to be continued.....
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作者名：みるくかぷちーの | 作成日時：2021年11月25日 20時
