雪降る夜に誘う夢【雪/黒】 (ページ28)

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episode.28 ページ28

「…私たち、小さいときに会ったことあるんだね。」

蓮「え？覚えてたの？」

「ううん、思い出したの。」

蓮「そっか…」

手の中の袋からベビーカステラを1つ掴みとり、口に入れた。

「蓮くんは、覚えてたの？」

蓮「あー…うん、まあ。」

「ほんとに！？じゃあ最初から私のこと知ってたってこと？」

蓮「いや、さすがに大人になってて、最初は気づかなかったよ。笑」

そう言って、優しく笑う彼の横顔を見上げた。

ふわふわと雪が舞う中、ほんのり心があったかくなる。

蓮「…夢でAちゃんの笑顔を見たとき、なんとなく、会ったことある気がして。」

「へえ…すごいね…」

蓮「あはは、そう？笑」

ということは、彼は私よりもずっと先に、幼少期のことを思い出していたってことになる。

感心すると同時に、疑問が浮かぶ。

「なんで今なのかな…」

蓮「ん？」

「だって、いろんな不思議なこと、今になって急に重なるなんて…」

蓮「あー…それは…」

私が投げかけた疑問に、蓮くんが言葉を濁す。

.

蓮「……たぶん、俺のせい。」

「…え…」

ど、どういうこと…？

蓮くんが、私と夢を繋げていたってこと？

彼が言葉を続けるのを待ったけど、それ以上は何も言ってくれなかった。

.

沿道に並ぶ屋台が気になって、時折目を逸らしながら歩いていると。

不意に、彼に手を引かれた。

心臓が跳ね上がってしまって、何も言えず目を合わせる。

蓮「また迷子になるぞ？笑」

彼は、意地悪そうな笑みを浮かべて言った。