episode.16 ページ16
蓮「イルミネーションって、もう子どもの頃以来行ってないかも俺。」
「へぇ…あんまりそういうところ行かないの？」
蓮「うん、友達とは行かないし。」
「…カノジョは？」
蓮「いない。」
「へぇ…」
……意外。
「女友達とかと行ったり…」
蓮「付き合ってない人ってこと？」
「まぁ…うん。」
蓮「それはもうデートじゃん。」
「え、そうなの！？」
蓮「わかんないけど…、俺なら、そういうのは気になってる人と行きたいと思う。」
え…やっぱりそういうものなのかな…
頭に1人、思い浮かぶ笑顔がある。
私が鈍すぎるだけ…？
その道を蓮くんと歩いていると、本当にイルミネーションを2人で見にきたような気持ちになる。
しかも周りに他の人は誰もいなくて。
2人だけの空間。
さっきまで、らうちゃんと歩いていた道を、今度は蓮くんと歩いているような…
なんか、とんでもないことをしている気分になってくる。
「そういえば、私も子供の頃にイルミネーション来たことあるなぁ…」
蓮「そうなんだ。」
「もうほとんど覚えてないけど…笑」
蓮「ははは、まぁそうだよね。笑」
一緒にいたのはお父さんとお母さんだったけど。
こんな風に、キラキラの装飾がされた道が、ずっと遠くまで続いていたことを覚えている。
そのときは、道の端に屋台が出ていたりして。
駄々をこねて、いちご飴か何かを買ってもらった…と思う。
「懐かしいな〜。」
吐く息は白くならず、呟いた言葉はそのまま暗闇に溶けた。
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作者名：みるくかぷちーの | 作成日時：2021年11月25日 20時
