奏でる音はすぐ傍に ２

会いたい ページ12

まだ夜明けの時間にジョンウンにメールを送った。

あと数時間後にはここを去らなければならないし、
電話だと出てくれないんじゃないかと、怖かったから。


気持ちを整理するためにと、シャワールームに入れば、目の前の大きな鏡にうつされた自分に幻滅する。


体調が悪いせいだけじゃないこの顔色の悪さは眠れなかったからだろう。
それに、あれからなかなか止まらなかった涙のせいで目も腫れてしまった。


「ほんと、最低。」


最低。
それは私だ。




彼はもう一度私に会ってくれるだろうか。

怒りのままに強く結んだ拳を打ち付け私を見ることなく去って行った
彼の後姿が頭の中によぎっては消えていく。



頭の中の彼をかき消すように冷たい水で顔をバシャバシャと乱暴に洗う。



すると、訪問者を知らせるベルが聞こえた。



こんな時間に……と思ったけれど、
きっとサイトウさんが私の様子を見に来てくれたのだろと思った。



スコープを覗けば、そこにいたのは予想に反して
私がもう一度会いたいと願っていた彼だった。




ジョンウン……



会いたいと願っていたのに、いざ目の前にするとどんな顔をして会えばいいのか
わからなくて。


表情までは見えないからか、なおさら緊張して、
自分の心臓の音がうるさい。



もう一度ベルが鳴り、ハッと我に返りあわてて扉を開けた。



ジョンウンが部屋の中にするりと入ってきたところで
私の視界が真っ暗になった


そして、耳元で自分のではない鼓動が聞こえる。



少し息を弾ませ体温が上昇している彼に抱きしめられているのだと気付いたのはそれからだった。

大丈夫だから　-YS-→←車を走らせる　-YS-

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