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あっという間に結婚式の日を迎えた。
結局、私は先月退職して、今は隆二を送り出した後にパン屋さんでバイト中。
式は親族だけのこじんまりしたものになって
登坂くんの友人代表スピーチは聞けずじまいに終わった。
披露宴を兼ねたお披露目の会。
皆さんに見せびらかせたかったウェディングドレスを着てお出迎え(笑)
キレイだねって言われて嬉しくないはずがない。
隣に立つ隆二のタキシード姿が、これがまたもう 反則だろ!ってぐらいにカッコよくて、結婚しててもいいですぅ〜とか言う、訳のわかんない女が寄ってきたらどうしようって不安になった。
だから、登坂くんにエサを撒いたんだ(笑)
登坂くんの気になるあの子とは、そんなに仲がいいわけじゃない。
だから、あの子の友達のみのちゃん(みのりちゃん)を呼ぶからって理由であの子にも声をかけた。
はじめはビックリしてたけど、おめでたい事だからと、みのちゃんと参加してくれる事になったんだ。
優しいんだよね、あの子。
『登坂くん、隆二が変なのに引っ掛からないように見張っててね?』
『は?俺、メリットねぇじゃん(笑)』
『そう言うと思って、呼んどいた』
『は?』
『あの子でしょ?仲良くなるチャンス作ったから、隆二の見張りよろしくー』
登坂くんは苦笑いしてるけど、こういう時の方が会社よりも話しかけやすいって!
行ってこいっ!(笑)
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『ねぇ隆二、私 今日めっちゃいいことした!』
『どんなこと?』
『登坂くんと登坂くんの気になる子が話すチャンスを作りました!』
『え?誰?誰?』
『教えなーい(笑)』
教えろよっ!ってこそばしてくる隆二とベッドの上で転げ回る。
とても新婚とは思えないけど、私達はこれでいい。
だって、甘い時間は隆二が作ってくれるから
ほら
いつの間にか こそばしていた手は私の身体のラインをなぞり、見上げた顔は艶っぽくて
黒い瞳がわたしを捉えて離さない。
その瞳に誘われるように、隆二の頬に手を伸ばす。
『隆二……大好き』
クシャッと笑った隆二がゆっくり降りてきて
私の耳元で囁く。
『俺も……』
それだけで、お腹の奥の奥がキュンとする。
これから毎日毎日 隆二に恋をして
二人で歩いていくんだ。
指を絡めて繋いだこの手が離れることはない。
fin.
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時