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『一応聞くけど、やめるって何を?』





『えっと…その…』




『はっきり言えよ』




『怒らないでね?』




上目遣いで隆二を見ると、腕組みをしてムスッとしていた。



『そんなもん聞いてみなきゃわかんねぇだろ』




だよね……(泣)




『新しいマンション決めちゃってからで申し訳ないんだけど…』




『結論を言え!結論を!』




イライラした様子の隆二がテーブルを人指し指でトントンしていて、それが妙に私を焦らせる。




『家賃も今の倍近くなるんだけど…』




『で?』




『仕事を辞めようと思う』




『は?』




だから怒らないでって言ったじゃーん(泣)




恐る恐る隆二を見ると、明らかに拍子抜けした表情でポカンとしている。



『ダメ……かな?』




『え?あ…それはいいけど…
はぁーマジでビビったわ』




『え?』




『いや、結婚すんのやめるって言うかと思ったし』




え?





『そんな事言うわけないし…』




『うん。まぁ良かったわ。でも、なんで?
お前、仕事好きじゃん』





『そうなんだけど……』





告げ口するみたいで気が引けたけど
今日 登坂くんに言われた事を隆二に話した。




『なんかやっぱり…近くに居ない方がいいかなって』




『うん。それは俺も思う』





『だから会社辞めようと思って…
でも、バイトするからね!』





『あぁうん。それはどっちでもいいけど』





目の前の隆二は
あー、びっくりした とか
食べた気がしなかった とか
ブツブツ言っている。


充分美味しそうに食べてたけどな
と、思いつつ ごめんねと言っておく。





食事を終えてマンションまでの帰り道
隆二の左手に包まれている私の右手をじっと見つめていた。




『まぁ臣には俺から話しとくわ』





『え?な、何を?』





『なにをって……諦めろ!ってさ』







クシャッと笑った隆二が私の手を引いて走り出した。






『え?え?なに?なに?青春?』





『俺についてこい!(笑)』






楽しそうに笑うあなたの顔は見えないけど、きっと私の大好きな顔で笑っていると思う。

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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時

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