昨日の敵は今日も敵？ (ページ34)

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『あー！お腹いっーぱい』

『お前食いすぎ(笑)』

約束通り、焼き肉をご馳走になって手を繋いで歩く帰り道。

『隆二』

『んー？』

『私、すごーく幸せ』

隆二はクシャッと笑った。

『それって、お腹いっぱい食べたから？』

んもぅ！
わかってるくせに聞いてくるの
ほんと、イジワルなとこ直んない
だから私も意地をはる。

『そーだよ！』

ほんとは、二人でこうして手を繋いで歩けることなんだけどな

『俺はねー、お前が俺を好きになってくれて幸せ』

意地悪でズルい。
でも、隆二の笑顔を見ると、素直になろうと思える。

『私だってそうだよ。長い間隆二の想いにも、自分の想いにも気付かなくてごめんね』

『そこはさぁ、ごめんねじゃないでしょ』

『え？』

ありがとうとも違うと思うけど？

『幸せになろうねでいいんじゃねぇの？』

『あ…うん。し、し、幸せになろうね？』

改まって言うとすごく恥ずかしくて、ついつい俯きがちになるけど、そんな私の事を隆二はよくわかってるから

『俺が幸せにしてやる。だから、Aも俺を幸せにしてよ。これから先、ずっと』

『え？う、うん』

今のって……

『プロポーズはちゃんとする。今のは練習』

そう言って、隆二は私の手を握ったまま大きく振りながら歩いている。

半歩前を歩く隆二の顔は、きっと今真っ赤なはず。

握られた右手を見てると胸の中から熱いものが溢れてくる。

『隆二』

『んー？』

『大好き！』

びっくりした顔をして振り向いた隆二の顔が一瞬でクシャッと崩れる。

『お前ー、不意討ちやめろよー(笑)』

握っていた手を引っ張られて隆二の胸におさめられた。

『俺も……大好き。愛してる』

人が行き交う歩道の真ん中
私達は人目も気にせず抱き締めあった。