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実家への報告も済んで少し経ったとき、何故か隆二がうちに引っ越してきた。
ある日突然、キャリケース2個と大きなリュックを背負った隆二が玄関前に立ってたからびっくりしたじゃん。
『この距離で別々に住むのもったいねぇじゃん。ちょうど更新の時期だったし』
らしいけど、一言ぐらい相談してくれても良かったんじゃないかな?
ただでさえパンパンのクローゼットなのに、隆二の服を仕舞わなきゃなんないでしょ
こんなの着れねぇだろ
とか
短すぎ
とか
センス疑う
とか
好き勝手言われて、処分対象になった私の思い出達。
『勝手に捨てないで!』
『俺の入んねぇだろ!』
『そこら辺に置いときゃいいじゃん!』
『じゃあお前のそこら辺に置いとけよ!』
は?
あり得なくない?
勝手に転がり込んで来たくせに!
それからしばらく、お互いの服を出したり入れたり
結局、疲れきった私たちは、顔を見合わせてため息をおとす。
『部屋着とか出しときゃいいじゃん』
『そだね』
ソファーぐったり座って、身体を寄せ合う。
『Aメシ行こ。疲れたろ?』
『やった!奢り?』
『うん。好きなの食えよ』
『焼き肉行こー。食べ放題じゃないとこ(笑)』
『は?(笑)』
まだまだ甘い恋人になりきれない私たちは、幼なじみの延長で過ごす。
こういうのもいいかもしれない。
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時