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見かねた隆二ママが思い出話のように教えてくれた。
Aちゃんが引っ越してきて、隆二と一緒に学校に行くようになったでしょ?
この子ね、それまでは学校に行ったり行かなかったりだったの。
心配だったんだけど、何を言っても うっせぇーしか言わなくて…
困ってたのよね。
それが毎日、しかも自ら起きてAちゃんを迎えに行って…
しばらくして、あー、隆二はAちゃんのこと好きなんだなぁって分かった。
嫌いだった勉強も、Aちゃんと同じ高校に行きたいから頑張って、大学も…就職先も…
いつもAちゃんと一緒にいられるようにね。
いい加減、他に彼女作ってないで告白すればいいのに…ストーカーで通報されるよって(笑)
隆二は、告白してもアイツが俺を好きになってくんなきゃ意味ねぇって
この子も変なとこで頑固だから…
そんなこと言ってるうちに、他の人と結ばれたらどうすんのって
そしたら
そん時はそん時。
アイツは俺を好きにならなかったってだけだろ
って…
だからね、隆二からAちゃんと一緒に帰ってくるって言われた時、電話口で叫んじゃったの。嬉しくて!
隆二の長年の想いが報われたんだもの。
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隆二は照れてるのかそっぽ向いてるし
私の母親は、ホントに鈍感なんだからって怒ってるし
隆二だけじゃなくて、他の人にもいろんな思いをさせてたんだなって思うと辛くなった。
じわっと涙が浮かんできた時、隆二がそっと肩に手を回してくれた。
あぁそうだ
こうやって
いつも私を見ててくれたんだ。
『隆二…ありがと』
二人のママの目にもうっすら涙が浮かんでた。
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時