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えっと……
登坂くんの言うことが正しいとするなら
今、目の前で笑ってる人が私の好きな人?
『なんだよさっきから……見すぎでしょ(笑)』
『あ…うん、ごめん。』
『臣に何か言われた?』
『え?あー、まぁ その…』
私、隆二のこと好きらしい
言えないでしょ!
『教えてもらったんだろ?別れた理由』
『へっ?』
私が目を丸くすると、隆二はフニャッと笑った。
『俺がもっと早く言ってたら、遠回りしなくて済んだし、お前も臣に喰われなかったのにな』
『俺はお前が好きで、お前も俺が好き
これでいいじゃん!』
『あ…うん。』
いいのか?
いいんだよね?
知り合った頃からを回想する。
転校早々、学校の人気者達と仲良くなった私が、陰口言われたりちょっとした嫌がらせをされると、いつも隆二が助けてくれたこと。
隆二と一緒にいると安心で、どこに行くにも一緒だったこと。
高校生になって、初めて隆二に彼女が出来て、1ヶ月話さなかったこと。
同じ大学に受かって、えーーー!っていったわりにかなり嬉しかったこと。
登坂くんと付き合ったのに、何も言われなくて
というより、臣はいいヤツだよって言われて、泣きそうになったこと。
そっか…
私も隆二が好きだったんだ
ずっとずっと前から
『ねぇ隆二…』
『ん?』
目の前で優しく微笑んでる隆二の耳に口を寄せた
『私もずっと好きだったみたい』
パッとこっちを見て、目を見開いた隆二と見つめあう。
『初めて聞けたわ。お前の口から好きって』
照れたように笑ってる隆二の頬っぺたをツンとつついた。
すると、手首を掴まれて誰も来ない非常階段に連れて来られた。
『好きだよ』
甘い言葉と一緒に、隆二の香りに包まれた。
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時