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『………………………』
『………………………』
部屋に帰ってきたのはいいけど、ずっと無言
久しぶりに話したいなって思ったのに、変に意識しちゃって話題が見つからないの。
『………なんか喋れば?』
『なんかって何を?』
『隆二が来るっつったじゃん』
『まぁ、そうなんだけど…もうちょっと一緒に居たいなって思っただけだし』
ちょっとやめてよ
余計に意識しちゃうじゃん。
『『あ、あのさ』』
お先にどうぞって、下手くそな漫才師みたいにふたりでペコペコして
そしたら隆二が笑ったんだ。
『お前さ、覚えてる?初めて会った日のこと』
『え?あ…うん』
突然何を言い出すんだと身構えた私は間の抜けた返事しか出来ず、当時に思いを馳せた。
そう、お隣の家に引っ越しのご挨拶に伺ったら、とっても優しそうなお母さんが出てきて下さって、ママとおばちゃんは一気に仲良くなった。
『誰?』
ドスの効いた声が後ろから聞こえて、振り返るとヤンキー感抜群の男の子が立ってた。
そう、それが隆二。
怖すぎるだろ
やだよこんなヤツの隣の家
おばちゃんに紹介されて、頭下げてんのか顎出しただけなのかわかんないような、変なお辞儀をした隆二にビビりながら自己紹介して……
『隆二と同じ歳なんだって!仲良くしてあげなさい』
おばちゃんの言葉に頷いた隆二少年が私をジロリと見た。
『よろしく』
『あ、はい!よろしくお願いします』
生まれて初めて生ヤンキーを見た私は、泣きそうになってたと思う。
隆二は、おばちゃんに言われた通り、毎朝一緒に学校に行ってくれた。
おかげで転校早々、友達はヤンキーだらけだった。
『あん時お前めっちゃビビってたよな(笑)』
『だって……ヤンキー見たのはじめてだったもん』
『俺さ、一目惚れだったんだよね』
マジで?
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時