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次の日から、玄関を開けても隆二が待ってることはなくなった。
登坂くんと隆二は、いつの間にかまた一緒にいるようになってて
なんか私だけハズレくじ引いたみたいになってんじゃん。
『まだ仲直りしてねぇーの?』
『べつに喧嘩してるわけじゃないもん』
今回は、登坂くんとペアで仕事する事になってんの。
隆二がとってきた、お墓のシミュレーションのプログラム。
お墓のシミュレーションってなんだよ!
ムカつく!
『お前さ、真面目にやれよ』
『やってるよ』
『じゃあなんでこんな事になってんだよ!』
あ……
『墓石選んでんのに玉砂利出てくんじゃん。
こっちも……字体が全部ゴシック体なんすけど
頼むわほんと……』
『ごめん……』
『今日、飲み行くか』
PCを見てる登坂君の横顔はとっても綺麗だった。
『どうする?行く?』
前を見たままの登坂くんは、ほんの少し眉毛が下がってる。
『うん。行く』
『じゃあ、ちゃんとやれ』
眼鏡をかけ直してまっすぐ前を見たまま笑ってた
同じ歳なんだけど、お兄ちゃんみたいなんだよね
学生の時から……
隆二は、やんちゃな弟みたいで
って、なんでここで隆二が出てくんのよ
私、最近おかしい。
きっと、隆二がかまって来なくなって調子が狂ってるだけ
うん
それだけだもん。
仕事終わり、登坂くんは今回も違うお店に連れてきてくれた。
『いつの間にこんなお店知ったの?』
『俺、いつもあの居酒屋行ってるわけじゃねぇし』
まぁそうだけど……
最近、私も変だけど
登坂くんもちょっと変。
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時