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『おいっ!』




我がシステム開発部のフロア入り口から叫ぶ営業の今市隆二。



そうコイツが朝のアイツ。



『登坂くん、呼ばれてるよ?』




『いや、あの呼び方の時はお前だろ?(笑)』



うん。分かってて言ってみた。




『なに?』




真顔で、あっちの世界の人みたいな隆二の前で、頑張って見上げる。





『昼メシ!臣ー!今日の昼メシAの奢りだからー』




『ちょっと!』



マジで?って言いながら小走りでやって来た登坂くんを睨み付けてみる。



『お前、太っ腹だな(笑)』



私の頭に手を置いた登坂くんと、早くしろよって言ってる隆二。




大きなため息をついて二人の後をついていく。





二人の後ろ姿を見ながら、いつも思うことを今更ながら考える。




あの二人、えげつないほどモテるんだよね



まぁ、登坂くんは分からなくもない。
ドSだけど、面倒見いいし、普段は優しいし
私の愚痴も嫌な顔せずに聞いてくれるから
まぁどっちかっていうと、いいやつ。





分かんないのがアイツ、今市隆二。

隆二とは私が中学の時に引っ越してきて、隣の家になって以来の仲。

最初はね優しかったんだよ。
最初は……


3ヶ月もしないうちに本性を現した。



私の名前知らないの?って言いたくなるぐらい、呼ぶ時は おいっ! お前!だし
変な言いがかりつけてくるし
パシリに使うし!



彼女できたってすぐ別れちゃうし



皆、あの笑顔に騙されてるんだよ




エレベーターホールで女子社員に囲まれてる二人を見ながらため息をついた。




あ!この隙に逃げちゃえばいいんじゃない?

私ってば賢いなぁ
奢らされるの分かってて、のこのこついてく必要ないもんね?



そーっと後ろを通りすぎようとしたら、右手をそっと掴まれた。

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作者名:花梨 | 作成日時:2018年4月1日 12時

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