Without remorse…？ (ページ23)

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以前のチャニョルなら、俺が結婚するって言ってんだからするんだよ、ぐらいの勢いだったのに、今や私に確認してくる始末である。それが嬉しいような、情けないような、複雑な心境だ。

チャニョルはバツが悪そうにそっぽを向いていたが、そうだ、と思い出したようにまた私に向き直った。そうだ、大事な話があると言われたばかりだった。私もチャニョルの真剣な様子を見て思い出し、姿勢を正して向き直る。

CY「一緒に暮らそう」

「……え」

CY「なんだよ…その顔」

「いや、私、てっきり一緒に住むのは結婚してからなのかなーって思ってたから…」

CY「嫌なのかよ」

「ううん。そんなことないよ。嬉しい」

チャニョルからの思わぬ提案に、私は顔を綻ばせる。結婚も同棲も、つい最近までは夢のまた夢だと思っていた。けれど、こんなにも呆気なくトントン拍子に話が進んでいくと、幸せすぎて逆に怖い。

私の表情を見たチャニョルは、良かった、と言いながらつられたようにゆるりと笑った。こんな風に優しく笑うようになったのも、あの一件があってからだ。雨降って地固まるとは、よく言ったものである。

CY「一緒に住んでたら仕事で遅くなっても話ぐらいできるだろ」

「そうだね」

CY「結婚式のこととか何も手付けてねーし」

「うん」

CY「親にもちゃんと報告行ってねーし」

「…うん」

CY「やること山積みだな」

「う、ん…」

CY「え？ちょ、A、なんで泣いて…」

「ごめん、なんか、まだ夢みたいで、」

私はチャニョルの言葉を聞きながら、いつの間にかぽろぽろ泣きだしてしまっていた。だって、あのチャニョルが、真剣にわたしとの未来を考えてくれている。こんなに嬉しいことがあるだろうか。

ぐすぐすと鼻をすする私に、チャニョルはティッシュを渡してくれた。そして漸くして私がやっと落ち着いた頃、ゆっくりと私のことを抱き締めてくれた。

CY「待たせてごめんな」

「ううん、待った甲斐あるよ」

CY「でさ、これ以上待たせらんねーじゃん？」

「ん？どういうこと？」

CY「…これ、書いてくんない？」

いつからどこに忍ばせていたのだろう。カサカサと音を立ててチャニョルが取り出したのは、婚姻届だった。