蝶の君の癖 ページ34
「__っ、心配してくださるのは有り難いのですが、私はこの通り元気ですのでご心配無く。家康さんこそ長旅でお疲れでは?」
不意をつかれて焦った私は何とか話題を逸したくて、いつもの笑顔を浮かべて彼を拒絶した。
だが、そんな私を見て彼は深いため息をついた後、何処か呆れたように私を見つめた。
その顔に少しだけ腹が立ったのはまあ、置いておこう。
「_はぁ……軽口叩ける余裕があるならまだ平気だね。でも、少しは気緩めてよね。政宗さんがあんたの事で言ってきて面倒だったんだから。」
「_政宗さんが?」
拍子の抜けた声に家康さんが肯定するように無言で頷いた。
_______
それは数十分前の事。
天幕を張り、兵士達用の食事を作っていた政宗は丁度そこを通り掛かった家康を引き止めた。
「おい、家康。しのぶの所に行ってちょいと様子見てきてくれないか?」
「_一応聞きますけど、何で俺なんですか?あんたが行ってくればいいじゃないですか。俺より、あんたの方が仲いいでしょ。」
少しだけ不満そうな家康に政宗はニヤリと笑って家康に近づき、彼の肩を軽く叩いた。
「まあまあ、これを口実にさ。俺が心配してたから話し掛けたとでも言っとけ。…それに、お前もしのぶの『あれ』に気づいてたんだろ?」
話の流れに頬を染めながら段々睨みを効かせる家康は政宗の最後の言葉にピクリと肩を揺らして反応した。
「_あんたに言われなくても、最初から声をかけるつもりですから。」
そう言って肩に置かれていた政宗の腕を払い除けて、家康はスタスタと歩いて行った。
その後ろ姿をじっと見つめる政宗は楽しそうに呟いた。
「ほんと、可愛くねぇ奴。」
________
「そう。移動中にあんたがずっと刀の柄から手を離してない事。巧妙に隠してるみたいだけどずっと微弱な殺気を出してること。」
「_あら、流石に気づかれますか。私もまだまだ鍛錬が足りませんね。」
私は眉を下げて首を少しだけ傾ける仕草をして、彼の返答を待った。
正直、殺気まで気づかれるのは想定外だったが私は無駄な詮索を避けたくて無言を貫く。
それに痺れを切らしたかのように呟いたのは彼だった。
「ずっと持ち歩いてるよね、その刀。城の外じゃいつも持ってる。特に、『夜』とか。」
そしてその視線が私の腰の愛刀に向けられるのがわかる。
「__何が言いたいんでしょうか?家康さん、分かるように説明して下さいませんか?」
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こんぶん(プロフ) - りこさん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!今は少し忙しいですが、できるだけ更新していきたいと思うので、今後もこの作品を宜しくお願いします! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - Okamotonori0831さん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!なるべく、更新出来たらなと思っているので今後もこの作品を宜しくお願いしますね! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 忙しいかもしれないけど頑張ってください! (2020年10月18日 19時) (レス) id: a8cbe2003c (このIDを非表示/違反報告)
Okamotonori0831(プロフ) - 良ければ、また更新して欲しいです!!とても面白いく、他にない感じで、私はイケメン戦国と鬼滅の刃どちらも大好きなので!!これからも頑張ってください(●´ω`●) (2020年10月18日 17時) (レス) id: c16ce53743 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - りこさん、コメントありがとうございます!最近忙しくて更新が遅くなるかもしれませんが頑張っていきます! (2020年9月10日 18時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぶん | 作成日時:2020年8月23日 20時