ぬるま湯に浸かる様な ページ33
「あら、意外ですね。家康さんはこいういった戦いには慣れていらっしゃるようだったので体調管理は万全にと早めに寝る方だと思ったのですが。」
ほんの少しだけ含みを見せた笑顔を家康さんに向けると彼は何とも言えない表情をして此方を見た。
「そう見えたんならあんたの目は節穴だね。俺は最終確認で薬の量を確認してたし、俺が早く寝たら俺の代わりに薬を管理する奴がいなくなる。そうやすやすと戦場で寝られるわけないでしょ。」
家康さんはまるで私の言葉が不満だとでも言うように不機嫌な雰囲気を隠しもしなかった。
「そうですか。それは、大変失礼な事をしました。うっかりです。」
私が彼の方を向いて首を傾げて、利き手をコツンと頭につけると彼は変人を見るかなような冷めた目で私を見てきた。
失礼ですね。
殴りますよ。
私が彼の態度にビキビキと苛立つのを抑え終始ニコニコしていると家康さんの方から話を切り出してきた。
「____月、見てたの?」
ボソリと呟かれた彼の一言に、私は彼が何を言いたいのかわからなかったが頷いた。
「ええ。今日は月が綺麗ですから。」
私はもう一度、夜空に浮かぶ月を見上げてポソリと告げた。
「へぇ____アンタも月が綺麗とか思うんだね。」
「あらまあ、それはどう言う意図で言ってます?」
「____安土城で武将全員に殺意向けて刀を抜こうとしてた女の言葉とは思えないって言ってるだけ。」
「あらあらまあまあ」
喧嘩売られてます?売ってますよねこれ??
高値で買いますよ???
私の笑顔に影がさしてきた事に気づいたのか分からないが家康さんが面倒くさそうな者を見る目で私を見つめた。
だったら、そんな事わざわざ本人の前で言わなければ良いのでは???
安土城にいる武将って女心のわからない人多すぎません???
まあ、秀吉さんは分かりませんが。
あの人は女たらしなので。
私のニコニコに米髪がピクピク言い始めた頃、彼が真っ直ぐに私を見てゆっくりと告げた。
「____疲れてるんなら、無理して笑うよりも怒った方がずっと良い。此処は戦場だ。いつ寝首を掻かれるかわからない状態で維持してたらアンタ本当に倒れるよ。
____昔のアンタは知らないけれど、今は少し位肩の力抜いたら?」
「_____っ。」
彼の口から発せられた言葉は鬼狩り時代の私からしてみれば、まるでぬるま湯に浸かる様な言葉。
それでも核心を突かれた言い分に、私は言葉が出なかった。
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こんぶん(プロフ) - りこさん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!今は少し忙しいですが、できるだけ更新していきたいと思うので、今後もこの作品を宜しくお願いします! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - Okamotonori0831さん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!なるべく、更新出来たらなと思っているので今後もこの作品を宜しくお願いしますね! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 忙しいかもしれないけど頑張ってください! (2020年10月18日 19時) (レス) id: a8cbe2003c (このIDを非表示/違反報告)
Okamotonori0831(プロフ) - 良ければ、また更新して欲しいです!!とても面白いく、他にない感じで、私はイケメン戦国と鬼滅の刃どちらも大好きなので!!これからも頑張ってください(●´ω`●) (2020年10月18日 17時) (レス) id: c16ce53743 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - りこさん、コメントありがとうございます!最近忙しくて更新が遅くなるかもしれませんが頑張っていきます! (2020年9月10日 18時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぶん | 作成日時:2020年8月23日 20時