私は私のままですよ ページ29
「…信長様も条件を出した人がいたと言っていました。あなただったんですね。」
「ふふっ…私達は似たもの同士みたいですね。…さて、私はあなたを死なせたくありません。此れは私の自己満足ですが戦後に安土城に来ませんか?」
そう言って彼女に片手を差し出すと彼女は弾かれたように泣き出した。
「…そんな…ずるい質問の仕方が…ありますか?詐欺師でも…しませんよ。罠だ…とわかって…飛びこむ…人なんかいま…せんよ。」
泣きながらも話す彼女に私は笑いかける。
「ふふっ…罠に見えますか?」
「…いいえ、本当に…意地が悪い…方ですね。しのぶ様は。」
「…そうでしょう?私ずる賢い女なんです。」
「…ふふっ。……ふふふっ。」
私がそう言って片目を瞑ると彼女は漸く笑顔を見せてくれた。
そして、私の手を握り返した。
私は泣き崩れる彼女の頭を泣き止むまで撫で続けていた。
天幕の間から見える月は、それを心から祝福しているように彼女を照らし続けていた。
______________
そして、真夜中
私はどうしても、眠る事が出来ずにいた。
「……まあ、今までに夜に外で寝る習慣が無かったから仕方が無いのかもしれませんが。」
元々いた場所が命懸けの場所だったのだ。
夜にうかうかと寝ることなんて、死ぬのと同じだった。
それに、ここに来てからずっと眠れていない。
眠ろうと目を閉じる度に暗闇が怖くなって、次第に目を開けてしまう。
暗闇で手を伸ばしても、叫んでもそこに誰も居なくて。
最初から、最後まで寝ていられたのなんてここに来てから数えるくらいだった。
そして、目を覚ますたびに思うのだ
ああ…夜なんて、無ければいいのに と
そうしたら、私は今度こそ
普通の女の子に戻れるのに
「…バカバカしい。姉不幸者の私が何を今更…」
そう考えてしまった自分に嫌気がさしてくる。
「…鍛錬が足りないのかもしれませんね。少し、体を動かしますか」
私は笑顔を作って、天幕から出る
あのね、姉さん、カナヲみたいに感情表現が苦手だけど思考が私にそっくりな子がいたの。
とても、とてもいい子なの。
だからね、見守れなかったカナヲの分まで冬さんの事を見守りたいって思うのはいけないことかな?
ねぇ、姉さん
_______
あの夜から
胡蝶カナエが死んだ日から
胡蝶しのぶもまた死んだのだ
ただの女の子になんて戻ってやらない
何も知らなかったあの頃になんて戻れる訳が無い
私はずっと剣士のままだ
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こんぶん(プロフ) - りこさん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!今は少し忙しいですが、できるだけ更新していきたいと思うので、今後もこの作品を宜しくお願いします! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - Okamotonori0831さん» コメントありがとうございます!返信が遅れてしまってすみません!なるべく、更新出来たらなと思っているので今後もこの作品を宜しくお願いしますね! (2021年2月18日 20時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 忙しいかもしれないけど頑張ってください! (2020年10月18日 19時) (レス) id: a8cbe2003c (このIDを非表示/違反報告)
Okamotonori0831(プロフ) - 良ければ、また更新して欲しいです!!とても面白いく、他にない感じで、私はイケメン戦国と鬼滅の刃どちらも大好きなので!!これからも頑張ってください(●´ω`●) (2020年10月18日 17時) (レス) id: c16ce53743 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶん(プロフ) - りこさん、コメントありがとうございます!最近忙しくて更新が遅くなるかもしれませんが頑張っていきます! (2020年9月10日 18時) (レス) id: d578b282eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぶん | 作成日時:2020年8月23日 20時