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ウィーン___
無機質なドアの音が、
静寂を打ち破った。

俺の目に映ったのは、
モニターを見つめるメンバーと、
俺を心配そうに見つめるメンバー。



「…お疲れ」



裕翔さんの声が反響する。
俺は無言のまま、自分のデスクに座る。



「…圭人」

「はい」



薮さんの声に反応し、
皆がいるほうを向く。



「…西畑は殺人を指示した疑いと、
事実を隠蔽した罪に問われると思う。
…圭人、頑張ったな」


薮さんはそう言って励まそうとしてくれるけど、
俺はどうもそんな気分にはなれなかった。



「山田さんの言う通りでした…」

「…俺?」

「やっぱり、無駄足、でした」

「…岡本…」

「…っ…ごめんなさい…」



この場の空気に飲み込まれそうになって。
皆に合わせる顔がなくて。

俺は一人、給湯室へ駆け込んだ。



「ううっ…ぐすっ…」


自分でも情けないくらいの泣き声が、
給湯室に響く。

涙は止まることを知らずに、
ぽたぽたと頬を伝う。



「けーいとっ」



そう言って俺に飛びついたのは、
おしるこの缶を持った大ちゃん。



「疲れたでしょ?これ飲みな?」



だいちゃんは俺の濡れた頬に、
お汁粉の缶をくっつける。



「…ありがとう…ございます」

「どういたしまして」



俺は缶を開けると、
一口、おしるこを飲む。

あったかくて、ほわっとした甘さが、
俺を心から温めた。



「…真実ってさ、残酷だよね」



大ちゃんは俺の隣に立ったまま、
どこか一点を見つめて言った。


「そりゃあ、真実を見つけることは大切だけどさ、
苦労した割には何も残らないし。」



___時々見失いかけるんだよね。
俺はなんで真実を求めてるんだろう、って。

大ちゃんはそう言って、
俺からおしるこを奪い取ると、
一口飲んだ。



「ちょっ…」

「でもさ、それでもよくない?」

「え?」

「真実を見つけることで、
誰かが得をするなら。
今回だったら、永瀬が罪を被らなくて済んだでしょ?」

「まぁ…」

「俺らの仕事って、そういうことだよね」



大ちゃんはおしるこを目の前のテーブルに置くと、
「じゃあねー」と言ってうしろ向きに手を振った。

おしるこはまだ、温かいままだった。



*カメレオン少年 fin*

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設定タグ:Hey!Say!JUMP   
作品ジャンル:ミステリー
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茸*(プロフ) - あーさーさん» はーい(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - じゃ、ボードのほうで。 (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» ありがとう!! (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - 頑張って!勉強も! (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» わざわざコメントありがとう!これからも頑張ります(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茸* | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年5月8日 1時

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