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「嘘くせぇ」
山田さんは西畑が泣いているところを見ながら、
吐き捨てるように言った。
「やま、言い過ぎだって」
裕翔さんが、山田さんを宥める。
「まぁ、信憑性は薄いよね」
付け足すようにして裕翔さんは言う。
「彼、大学でも演劇部に所属してるらしいし。
泣くことのひとつやふたつ、
簡単にこなせるみたいだよ」
伊野尾さんはパソコンに向かったまま話す。
「…どうする、みんな」
薮さんが、
腕組みをしたまま、
俺らに向けて話した。
「俺はほかの証言を引き出すべきだと思う、
仮にも容疑者だし」
山田さんがそう言うと、
周りも納得した様子だった。
だけど俺は、決めつけたくはなかった。
決めたから。
たとえ一人になっても、
その言葉を信じるって。
「じゃあ、西畑の身辺を調査する方向で…」
「あの、一ついいですか」
「圭人、どうした」
「…西畑の証言を、
信じてみたらどうですか」
俺がそう言うと、
周りの空気が凍ったように、
冷たくなった。
「あのさぁ、岡本」
「…はい」
「相手は容疑者。
自分の罪から逃れるために、
適当な言い訳してるって分かんないの?」
「でも…」
「俺は反対」
山田さんは俺の意見を、
ばっさりと切り捨てた。
「…そうだな、岡本、今回はもう一度、
西畑を調べてみよう」
「でも、薮さん…」
俺が言葉に詰まったとき、
耳元で、
有岡さんの声が聞こえた。
「西畑のこと、信じてる?」
小さくつぶやかれた有岡さんの声に、
俺は頷いて反応した。
「俺は圭人に賛成だけどな」
有岡さんが突然、
声を発した。
「もしかしたら本当に、
西畑はやっていないのかもしれない。
ただ罪をなすりつけられただけなのかもしれない。
調べてみてもいいでしょ、ね?」
有岡さんは、
いつもの子犬のような目で、
みんなに向かって訴えた。
「…そうだなぁ」
薮さんは二つの意見が出て、
かなり迷っている様子だ。
「よし。
捜査の対象を一時、永瀬廉に移す。」
「でも薮ちゃん…」
「西畑も、容疑が消えたわけじゃないから、
捜査は続けること。」
「…はい」
「よかったね、圭人」
「はい!」
俺は心の中で、
小さくガッツポーズをした。
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茸*(プロフ) - あーさーさん» はーい(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - じゃ、ボードのほうで。 (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» ありがとう!! (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - 頑張って!勉強も! (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» わざわざコメントありがとう!これからも頑張ります(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
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