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***
圭人くん、
そう言って肩をたたいたのは、
有岡さんだった。
「お昼、一緒にどう?」
俺は有岡さんの言葉に甘えて、
一緒に昼食を摂ることにした。
…
「え、圭人くんって、裕翔と同期なの!?」
有岡さんの声は、
壁を跳ねてはねて、
俺の耳に届いた。
つまり、声が大きい。
「…そう、ですけど…」
「へぇー、だから仲いいんだね」
有岡さんは好物だという、
オムライスを頬張りながら話す。
「ところでさ、事件のことなんだけど」
有岡さんは、
オムライスを食べていた手を止め、
俺のほうを向いた。
「どう思う?」
「西畑のこと…ですか?」
「そう、やったのか、やってないのか」
有岡さんは依然、
俺の目を見つめたままだ。
恐らく、俺がこの質問に対しての答えを出すまで、
有岡さんはオムライスを口につけないだろう。
「…現段階では、まだ何とも言えないですけど…
俺は、できるだけ西畑の言葉を信じたい、です」
初めて、有岡さんの目をちゃんと見て話した。
有岡さんは、暫く黙って俺の目を見つめていた。
(なんか、まずいこと言っちゃったかな)
「…圭人くんて、優しいよね」
有岡さんは、今までの表情とはコロッと変わって、
微笑みながらそう言った。
「誰かを信じようとするところとか、
大切だと思うよ、俺は」
そう言うと、有岡さんは、
オムライスにスプーンを通した。
『そうやって何でもかんでも信じるから、
こうやって犯人を取り逃がすんじゃないか!』
前の部署で、
そうやって言われ続けてきた俺にとって、
有岡さんの言葉が意外だった。
真逆じゃないか。
「圭人くん?どうした?食欲ない?」
有岡さんは、
子犬のような目で見つめてきた。
「いや、なんでもない、です」
よかったー、って言いながら、
残り少ないオムライスを、
頬張る有岡さん。
その時だった。
有岡さんの携帯が、
小さく音を鳴らした。
「あ、いのちゃん」
有岡さんはそう言うと、
届いたメッセージを、
読み始めた。
暫く携帯に向けられていた、
有岡さんの視線は、
突如、俺へと移された。
「圭人くん、急いで食べて。
西畑が、事件について証言したって」
有岡さんの目は、
オムライスが大好きな少年の目から、
一人の警察官の目へと、
色を変えていた。
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茸*(プロフ) - あーさーさん» はーい(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - じゃ、ボードのほうで。 (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» ありがとう!! (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - 頑張って!勉強も! (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» わざわざコメントありがとう!これからも頑張ります(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
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