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*
「ちょっと!!」
裕翔さんは女の子たちに向かって声を上げながら、
俺の前を走っている。
上り坂だったことが功を奏し、最初は速かった女の子たちも徐々にスピードが落ち、
結果、持久力のある裕翔さんと俺は彼女たちに追いついた。
「なんで俺らから、逃げるなんてことしたの?」
裕翔さんは彼女たちの前に回りこみ、興奮させないように丁寧に話しかける。
背の高い裕翔さんは、目の前に立つだけでもかなり迫力がある。
男の俺がそう感じたんだから、彼女たちはなおさらだろう。
「何か、警察に見つかったらヤバイこととか、あったの?」
裕翔さんのその一言に核心を突かれたのか、
下を向いてしまう彼女たち。
すると、もう抵抗しても意味がないと感じたのか、
そのうちの一人が口を開いた。
「風俗…働いてたの」
長い髪で表情まで見えなかったが、
震える声で、泣きそうになっているのは俺でもわかった。
「ちょっとしたお小遣い稼ぎのつもりだったの」
今度はポニーテールの小柄な少女がそう言った。
裕翔さんはそれを、真剣に受け止めている。
「皆、働いてたの?」
俺が尋ねると、彼女たちは頷いた。
「他にも、誰か働いていた子っている?」
別件とはいえ、このことを放置しておくわけにはいかない。
いずれは他の部署に引き取られる案件だと思うんだろうけど、
なんとなく、聞いておかなきゃいけない気がした。
これを、「刑事の勘」とでも言うのだろうか。
「今はいないんだけど、もう一人…」
___小野朱莉、ってコ。
突然発せられたその名前に、思わず裕翔さんの顔を見つめる。
裕翔さんは、薄々気付いていたのか、
驚くことなく受け止めている。
「いつ頃から…働いていたの?」
冷静に、かつ丁寧に、裕翔さんは彼女たちから証言を引き出していく。
さすがは、取り調べ専門の部署に所属するだけある。
「丁度一年前だと思う」
「じゃあ…その、朱莉って子、どんな子だったかわかる?」
「なんか、素っ気無い感じで、私たちともあんまり話さなかったかな」
「あ、私、朱莉ちゃんと話したことあるよ。
どうしてここで働いてるの、って。
そしたら、『パパを助けるため』って言ってたけど」
「…パパを助ける…?」
小野朱莉は、父親に虐待を受けていたはずだ。
そんな父親を普通は助けたいとは思わないはず___
この事件、もっと複雑なんじゃないか___?
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茸*(プロフ) - あーさーさん» はーい(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - じゃ、ボードのほうで。 (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» ありがとう!! (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
あーさー(プロフ) - 頑張って!勉強も! (2017年10月8日 21時) (レス) id: 502d889536 (このIDを非表示/違反報告)
茸*(プロフ) - あーさーさん» わざわざコメントありがとう!これからも頑張ります(''◇'')ゞ (2017年10月8日 21時) (レス) id: c87a0e9b8d (このIDを非表示/違反報告)
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