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*コイツはここのシェフ。お前と同じだ。
囁きが聞こえる。
その愛する声に、自然と口元が緩む。
吐息が耳にかかって、擽ったさを感じた。
……なんだか、コイビトみたいな。
羞恥と嬉しさが混じって、心が変な気分になる。
その気持ちを誤魔化すようにして、
動かない彼を観察する。
彼。どこかで、見たような。
いや、同じ職場だから
見たことがあるのは当たり前なのだけれど。
もっと違う、こう、大事な＿＿＿＿＿＿＿＿
*……A。
大好きな声が私を呼ぶ。
私を見つめる、紅の双眸。
その眉は心配そうに下げられていて。
私だけを、思ってくれてる。
私だけを、見てくれている。
そのことに、心が喜びで満たされる。
その人は、数秒私を見つめると、
ふっ、と少し口角上げた。
＿＿＿＿ああ、笑ってくれた。
*コレは厄介だ。私達の邪魔になる。
*先に、殺してしまおう。
『……え？』
天使のような微笑みを
浮かべながら、あの人はそう言った。
*問題ない。今までもやってきただろう?
*それと同じだ。
*……さぁ、そのナイフで殺せ。
私の右手には、
いつのまにか銀のナイフが握られていた。
電灯の光が反射して、ナイフが鈍く光る。
握ると、心がふわりと安らいだ。
……何かを、思い出せそう、なんだけどな。
まあ、いいか。
思考を放棄し、右腕を振り上げた。
・ ページ8
扉の鍵は開いていた。
中に入って様子を伺う。
＿＿＿＿＿＿＿＿だれか、いる。
そのヒトは、壁に凭れかかるように座っている。
………ぴくりとも、動かない。
そっと、静かに そのヒトに近づいた。
生糸のように艶がある、海松藍色の髪。
緑のスカーフが首に巻かれており、
料理人のような服装をしている。
彼が身につけている前掛けには
赤黒いモノがべっとりと付いていた。
彼の周りには、
赤に染まった斧や、シーツ、肉塊が乱雑している。
それを認識した途端、
その強烈な匂いに、思わず口角が歪む。
こんなに肉塊があるということは、
それだけ彼は自分の手で………
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿彼は、私とおなじなのかな。
囁きが聞こえる。
その愛する声に、自然と口元が緩む。
吐息が耳にかかって、擽ったさを感じた。
……なんだか、コイビトみたいな。
羞恥と嬉しさが混じって、心が変な気分になる。
その気持ちを誤魔化すようにして、
動かない彼を観察する。
彼。どこかで、見たような。
いや、同じ職場だから
見たことがあるのは当たり前なのだけれど。
もっと違う、こう、大事な＿＿＿＿＿＿＿＿
大好きな声が私を呼ぶ。
私を見つめる、紅の双眸。
その眉は心配そうに下げられていて。
私だけを、思ってくれてる。
私だけを、見てくれている。
そのことに、心が喜びで満たされる。
その人は、数秒私を見つめると、
ふっ、と少し口角上げた。
＿＿＿＿ああ、笑ってくれた。
*先に、殺してしまおう。
『……え？』
天使のような微笑みを
浮かべながら、あの人はそう言った。
*それと同じだ。
*……さぁ、そのナイフで殺せ。
私の右手には、
いつのまにか銀のナイフが握られていた。
電灯の光が反射して、ナイフが鈍く光る。
握ると、心がふわりと安らいだ。
……何かを、思い出せそう、なんだけどな。
まあ、いいか。
思考を放棄し、右腕を振り上げた。
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作者名：さくさくパンダ | 作成日時：2023年8月26日 13時
