今日:12 hit、昨日:16 hit、合計:7,504 hit
小｜中｜大
"此処に迷い込んだ客を、封じろ"
悪魔の囁きのような甘美さと、
凛とした力強さを持つ声だった。
言葉で言い表すならば、甘い蜜。
脳が蕩けそうなほど甘い。
私と同じ境遇の人がいるのか、とか。
脱出の邪魔とは、一体何のことだ、とか。
そんな思考が一瞬にして
溶けてなくなるくらい、頭がくらくらする。
もう、何も＿＿＿＿＿＿＿＿
不意に、ふわりとした"何か"が足に触れた。
その感覚で、意識が再編成される。
足元の白衣を、手に取る。
少し大きめのサイズの白衣だった。
これは、私の…なのか？
＿＿＿＿ずきり、と頭が痛んだ。
「ちがう、ちがう…ちがう!そんなことは!!」
「味方……?」
『ここは私とあなただけ、大丈夫』
「…ああ、」
『私は、あなたを裏切りませんよ』
微笑んだ私を崇め、祈りを捧げる人々。
彼らは皆、私を「神」と呼んでいる。
人間は、本当に滑稽だ。
…… そうだ、思い出した。
・ ページ4
『……傘？』
部屋の奥に、傘が見えた。
部屋の光が、すぐ隣にある
ランタンしかない為、暗くて見えづらいが……
目を凝らしてみると分かる。
あれは、"傘"だ。
しかし何故、室内に傘が……？
干すならベランダや玄関が一般的なのだが…
そんなことを考えて、ふと我に返る。
私の体は、いつのまにか、傘の前にいた。
その傘に吸い寄せられるようにして、
傘に手を伸ばす。
本当に、無意識に。
＿＿＿＿＿＿＿＿よく、わからないけど。
これは、私にとって、
大事な、大事な＿＿＿＿＿＿＿
指先が、傘に触れた。
その瞬間、誰かの声が頭の中に流れてくる。
悪魔の囁きのような甘美さと、
凛とした力強さを持つ声だった。
言葉で言い表すならば、甘い蜜。
脳が蕩けそうなほど甘い。
私と同じ境遇の人がいるのか、とか。
脱出の邪魔とは、一体何のことだ、とか。
そんな思考が一瞬にして
溶けてなくなるくらい、頭がくらくらする。
もう、何も＿＿＿＿＿＿＿＿
不意に、ふわりとした"何か"が足に触れた。
その感覚で、意識が再編成される。
足元の白衣を、手に取る。
少し大きめのサイズの白衣だった。
これは、私の…なのか？
＿＿＿＿ずきり、と頭が痛んだ。
「ちがう、ちがう…ちがう!そんなことは!!」
「味方……?」
「…ああ、」
彼らは皆、私を「神」と呼んでいる。
人間は、本当に滑稽だ。
…… そうだ、思い出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくさくパンダ | 作成日時：2023年8月26日 13時
