幸せを呼ぶ桜【黄】 (ページ8)

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佐久間さんのおかげで無事に岩本さんから現場への復帰承諾を得た私は、今日も新しい捜査に携わっていた。

と言っても、まだ本復帰は認めれずほぼ雑用なのだが。
今日は張り込みをしてる岩本さんと佐久間さんへの差し入れを頼まれた通り持ってきた。

＿＿＿コンコン

マンションの一室のドアをノックしながら、手に持っているビニール袋をよいしょって持ち直す。

『お疲れ様です！岩本さん差し入れ持ってきました！』
岩「……」
『っ！？ちょっ……』

笑顔で手にしたものを少し上に持ちあげながら挨拶したはずが、扉が開いた瞬間気付けば首根っこをつかまれて玄関にひきずりこまれた。

『っ、何するんですか！』
岩「Aもう一回警察学校からやり直すか？」
『え……』

A差し入れありがとー、ってリビングの方からひょこっと顔を出した佐久間さん。私たちの不穏な空気に気付いてあららって眉を下げた。

岩「近くに人がいたらどうすんの？今はマンションの玄関だからそんな人いねぇけど、これがもっと人が多いところだったら？」
『っ、すみません』
岩「お前のその軽率な一言で潜入してる仲間がばれることだってある。仲間だけじゃない、俺らはこの国を守ってんの。もっと自覚を持てって」
『……はい』

玄関に靴をはいたまま立ちつくす私。
岩本さんはそれ以上声をかけることなく、リビングに戻っていってしまった。

はぁぁぁぁ、とため息を吐きながらその場にしゃがみ込む。前回から何も成長してないじゃない私は。ほんと岩本さんの言う通りだ。

佐「ほーらっ！そんなとこ座ってないで中行くよ？」
『っ、佐久間さん』
佐「あははっ、ひっどい顔してんなぁ笑」
『うぅ……』

笑いながらも頭に乗るその手は優しい。
そのまま半ば引きずられるようしてリビングに足を踏み入れた。