幸せを呼ぶ桜【黄】 (ページ5)

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佐「Aはさ、今年ここに来たとは思えないくらい頑張ってると思うよ？この部署の中でも優秀だし。なにかあった時、自分で対処できるくらいの判断力も技術もあると思う。でもさ、相手の人数を勝手に決めつけて自分1人でなんとかしようとするのはどうなんだろうね」
『はい』
佐「1人で動かなきゃいけない場面だってもちろんあるけど、それは最終判断」

全部1人でやらなきゃって、強くいなきゃって。
そうずっとずっと思ってきた。

そう、あの日から。

『……佐久間さん』
佐「んー？」
『すみませんでした。勝手な行動して』
佐「ちがうちがう怒ってない！照は怒ってるけど！いや照も怒ってないけど！」
『ふふ、なんですかそれ笑』

私が落ち込んでるに気付いたのか、慰めるように明るく振る舞う先輩がおかしくて思わず笑ってしまう。

むぅ。佐久間さんを笑ったな？って言いながらいじけたふりする先輩。可愛い。

どんな場面でも先頭にたってみんなを引っ張る現場での頼もしい姿からはまるで想像できない。

佐「みーんなね、心配してんのAを！」
『心配、ですか？』
佐「特に照とか」
『えぇ？！岩本さんが心配ですか？！どう見ても足引っ張るなよって感じでしたけど』

佐「うん。自分をね、もっと大切にしろってことだよ」

そう言って、私の頭をぽんぽんってする佐久間さん。

その眼差しがなんだか悲しそうで、寂しそうで。私はそれ以上何も言えずに、小さく頷くことしかできなかった。