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心 ノ 中 ノ 彼 ページ29
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「 はあ・・」
電話を切って出た溜息
きっともう彼から連絡がくることはないだろう
ひとつ問題を解決した気になって安心しきって液晶画面を見ると不意にある人の名前を見つけた
" せいや "
この途端にまたひとつ問題が増えた気がした
メッセージはまだ開いていないけど 錦戸亮との通話の間にきてたらしい
また溜息が漏れた
そのメッセージを見ないで消去することもできた
できたけど それじゃあ問題解決はいつまでたってもしない
わたしはそこに指を滑らせると 出てきた文字に胸が高鳴った
" 今日 会えますか "
ああ まだ引きずってんじゃん
もしかして奥さんと別れたのかな わたしとの未来を考えてくれたのかなって
さっきまであの錦戸亮と電話してた女が この数秒でそんなことを考えてしまってる
わたしも終わったわ
自分で自分に呆れつつ " 家で待ってる " とだけ送るとわたしは早速部屋の片付けを始めた
何が楽しくてあんなクズ男のためにこんなことをしているのか
無意識に笑みがこぼれた
けど そんな幸せに思えた時間もたったの数時間だけで
彼はわたしの目の前に現れるなり
額を床につけながら
「 金を貸してくれ 」
そう言った
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作者名：ストン | 作成日時：2018年6月25日 21時
