恋を、君と。❷ (ページ9)

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星逢 ─願い星が降る夜に─ #Taisho ページ9

もしも、もしも叶うなら、今─、

「逢いたいよ………大昇………」

大好きなあの笑顔に、逢いたい。
たった一週間。一年に一度しか逢えない織姫と彦星に比べたら何てことない時間だけれど、日々その背中は遠く、遠く霞んでいくの。
名前を呼んで引き止めることも、手を伸ばして掴むことも出来ないで、私は同じ場所に立ち止まったままでいて。

「たい、しょう……っ、」

名前を呼んだらあなたは振り向いてくれるのかな。
伸ばしたこの手はあなたに届くのかな。

星々で象った笑顔を滲ませた雫がひとつ、零れ落ちた。
なに、泣いてるんだろ。
こんな所で、ひとりで、たった一週間逢えないってだけで。
バカみたい─そう思うのに、呟いたそのたった一言が募った想いを瞳の奥から次々と零れさせる。
顔が見たい。声が聞きたい。
ちゃんとご飯食べてるかな。
無理したり、身体壊したりしてないかな。

「、大昇……」

返事をしてほしい。名前を呼んでほしい。

「っ、大昇っ……」

遠く、高く、ひとつの星が遥かな空で瞬いた。

「A───！」

誰もいない、夜の公園。
昼間の元気な子供たちの声は静まり返って、ひとり漕ぐブランコの甲高い声が響いて、落ちて、そして、

「A──！」

大好きな、あなたの呼ぶ声が、
流れ星のようにこの胸に飛び込んで響き渡った。

「た、い、しょ……」

「っ…、A…、来たよ」

「な、んで……」

大昇は息を切らして、額に汗を滲ませて、
真っ直ぐに私を見つめて、笑った。

「Aが…、」

「泣いてる気がしたから。」

ブランコが揺れる。勢いよく駆け出した私の背で。
夜の公園を、満天の星空の下を、あなたの元へと駆ける私もまた、まるで流れ星のように大好きなその人の胸の中へと飛び込んだ。

「A、ごめん……逢いに来たよ。」

「大昇……、逢いたかった……」

「うん、俺もずっとAに逢いたかった。」

寂しくなかったと言えば、逢えなくても平気だと言えばそれはウソだけれど、嬉しくもあるのも本当に、ほんとうで。
どんどん逞しく大きくなっていく背中を誇らしく思うのも、けれどどんどん遠くなっていく背中を寂しく思うのもほんとうで。
そんなあなたの輝きが失われないようにと、
いつも幸せでいてくれたらそれでいいと、
その願いも、やっぱりほんとうで。

だけど、だけどね。