恋を、君と。❷ (ページ23)

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＊君が生まれた八月へ #Taisho ページ23

どんな君でも私の世界でただ一人の王子様に変わりはないから。

「…ありがと……ありがとう…A…」

それは消え入りそうな声だったけれど、この胸の奥のずっと奥にまで深く木霊した。

「大昇……もう一回お願い……」

大昇はゆっくりと顔を上げて私を見下ろした。
何だか久々に見た大昇のその表情は、あどけないような、大人びたような、だけどやっぱり私の大好きな人の輪郭(カタチ)だった。

「今夜は、いっぱい、いっぱい、愛してください。」

明日またひとつ大人になる君を、
今日またひとつ子どもを卒業する君を、
この身体の全部で精一杯愛してあげたいから。

大好きな輪郭を抱き寄せてそっとキスをする。
途端に唇は再び熱を灯して、呼応するように互いの身体の深奥に愛欲の火が宿った。

「大昇…、だいじょうぶ。」

泣いたあとのように少し紅く滲んだ眦を撫でて笑う。

「…痛かったり、止めたくなったら殴ってでも止めるって、約束…。ぜったい、Aを傷付けたくないから…」

そのやさしさにどれだけ救われて、いつも守られてるか、君は知ってるかな。

「ありがとう…分かった、約束。」

指と指との間を縫ってぎゅっと繋ぎ合う。
月が、ゆっくりと雲から顔を覗かせた。
この夜を一秒でも長く引き留めておく為に。

─

「っ…、んっ…」

大昇が、私の中に入ってくる時、
大昇と、ひとつになる瞬間、
私の身体は全身で幸せを謳うの。
ゆっくり、ゆっくりと私の奥を目指して熱い熱い大昇の熱が押し入ってくる感覚に背筋がゾクリと粟立って、思わず掴んだ大昇の腕に縋った。

「A、ゆっくり息吐いて」

「ん…」

ゆっくり、ゆっくりと、そして私の中に全てを押し込めた大昇は深く息を吐いて引き結んでいた唇を解いて笑った。

「Aん中、いつもよりあっつい…気持ちイイ」

嬉しそうに、少し照れたように笑うから、
そんなあなたが好きだって啼くようにまた蜜が溢れ出す。
だって今日は特別な夜だから。
あなたと繋がり合う夜はいつも特別だけれど、いつもよりずっとずっと特別な夜だから。

「っ…、A、だいじょうぶ？」

「うん…っ、大昇…もっと、もっと奥まで来て…っ」

呼吸を乱して、汗を滲ませて、嬌声(こえ)を喘がせて、二人は夢中になって抱き合った。

「は…っ、A、よそ見しないで…俺だけ見てて…」

「ん…、たいしょ…っ」

大昇は僅かなよそ見も逃げも許さずに、その視線と手と止まない律動による快感で私を捕えて離さなかった。