18scene ページ19
「〜っ！っ！！」
伸びる汚い手。絶対に触れられたくない。辛うじて自由な脚をバタバタと動かし、男を追い払う。
それだけで。頭にガンガンと衝撃が走る。動きたくない。でも、逃げなきゃ。逃げなきゃ。
「ん……！」
ぐらりと見失う重心に、ガタン！と大きな音をたて放り出された体。涙が、出て来た。
「もうスカート脱がそうぜ。おい、お前脚押さえろ」
抑え込まれたふくらはぎ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。男の力にかなうわけがない。痛くて、圧迫されるようで。
誰も通りやしない。ましてやここの準備室は、教室と離れてる。
何でこんな目に遭わなきゃいけないの。
「てか白金さんって処女？」
「それはねーよ、だって芸能人ゴロゴロいんじゃん」
「だよな、じゃあ二人も三人も変わらないか」
下品な笑い声。下品な会話。こんなヤツらと同じ空間にいて、同じ時間を過ごしてる。頬をつたう雫。
冗談じゃない。ふざけんな。私が今まで、どれだけのことを我慢してここにいるのか。
暴れたせいで、荒い息。おまけに頬は高潮してる。潤んだ瞳で──欲しがるように、男を見た。
「ほら、めっちゃいんら……」
案の定、太ももを抑えていた男の力が弱まる。そのスキをついて、思いきり顔面に蹴りを入れた。
手首をガムシャラに動かす。お願いだから、ほどけて。擦れるおかげで、ヒリヒリと傷んできた。微塵の血なんて、どうってことないから。
一人がぶっ倒れ、私は立ち上がる。視界がグラグラする。
「てめ、何して……！」
ハンカチのせいで、呼吸が思うように出来ない。私がここまでするとは思わなかったようで、二人の男が焦り始めた。
諦めたら、全部終わる。下手したら。顔に傷がつく。
男は鼻血を流し、咳き込みながらよろよろと立ち上がる。まずい。もう、時間がない。
ほどけてよ。ほどけろ。ねぇ。こんなとこで、終わってたまるか。
「っざけんなてめぇ！」
怒号が響く。振りかざされた拳。危機一髪で、何とか交わす。体力は、もうない。
「〜っ！」
これが火事場のバカ力と言うのか。最終手段で、精一杯腕を左右に広げた。だいぶ緩まってくれていたのか。はらりと、紺色のネクタイが落ちた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1724人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
k(プロフ) - コメント失礼します。れなさんの書く作品がだいすきでこの話もとてもすきなので続きを書いて頂きたいです(><)これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年5月10日 1時) (
レス) id: 85b25e2b8c (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - 待って待って予想以上に神くんがエグい！笑紫耀くんが意外に凄いいい人で安心しました、、 (2018年5月5日 9時) (レス) id: 7655426a1d (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - ユリさん» ユリさんありがとうございます！本当に本当にほんっっとうに申し訳ないのですが、この作品消しちゃうかもです……。ちょっと難しくて(嘆)。もし消してしまったら、違う連載作品応援してくれるとても嬉しいです(T_T) (2018年4月28日 21時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 更新楽しみにしてました！れなさんの作品どれも大好きなのでこれからも応援しています！ (2018年4月28日 3時) (レス) id: 7e6958c68c (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - ☆あゆみ.K☆さん» あゆみさんはじめまして！いつもありがとうございます＞＜雪月花も読んでくれていて嬉しいです(号泣)。たくさん頑張ります！ (2018年2月22日 18時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年2月14日 18時
