忘れな草の恋 30

30-08 自慢話 ページ8

■ DongHae ■

愛おしいのに…どうして否定的な事を言うのか―。俺にはｳﾆｮｸの言っている意味がいまいち分からない。

ﾄﾞﾝﾍ「…Aが悪いって…何で？」

ｳﾆｮｸ「お前が悪くなるならの話だよ。要はどっちも悪くない。お前は知らないだけだし、Aは頑固過ぎるんだ」

ｳﾆｮｸがそう言ったら、俺の身体を支えてくれているｲﾄｩｸ兄さんの手に少し力が入った。

もしかして兄さんも俺と同じ事を思った？

俺は何を知らなくて、ｳﾆｮｸは何を知ってるのか――。

そう尋ねると、ｳﾆｮｸは大きく息を吸い込みながらゆっくりと首を振った後、だから僕も知らないんだって、と言って吸った息を吐き出した。

ｳﾆｮｸ「全部自分の憶測。それでも良い？それでも聞く？」

俺はすぐに頷いた。憶測でも何でも良いから意見を取り入れたいんだ。

そうすれば俺のバカな頭も少しは働いてくれるかも知れないから。

ｳﾆｮｸ「僕が思うに…Aは求める事を避けようとしてる。それも必要以上に」

またこの感じだ――。

頭は全く理解出来てないのに、心臓だけが早鐘を打って嫌な音を出す。

ﾄﾞﾝﾍ「……分かるように言って？」

ｳﾆｮｸ「お前、そんなの求めるなって言っただろ？多分…それはAに言っちゃダメだった」

ﾄﾞﾝﾍ「え、だって……友達だって言われたから。俺そんなの嫌だ。男として見て貰いたいんだ！」

ｳﾆｮｸ「僕だってそうだよ？それに前までの僕ならお前と一緒で焦りが先に出てたと思う」

ｳﾆｮｸも一度自分を男として見て欲しいんだと言った事があり、その時Aは“ｳﾆｮｸはどこからどう見ても男だ”と答えたらしい。

ｳﾆｮｸ「こっちは緊張してるのに、Aはあり得ないほど普通で、そうじゃなくて…ってすっごいもどかしくて」

ﾄﾞﾝﾍ「でもお前は男だって言われてた」

ｳﾆｮｸ「そう。僕は男として見て貰えてたんだよ。自分が焦ってただけで、Aは正直に答えてくれてたんだ」

ﾄﾞﾝﾍ「それじゃ、俺に友達だったら嬉しいって言った事も正直な気持ちだって事じゃん！」

俺は本気で泣きそうになっているって言うのに、ｳﾆｮｸが「そうだろうね」と容赦ない返事を寄こすから苛立ちを覚えた。

言い返そうとして口を開くと、すぐにｳﾆｮｸに「怒るなら話さない」と言って遮られる。

そう言われてしまえば俺は黙って息を吐き出す事しか出来ないけれど、お前…ずるいよ。

俺はお前の自慢話を穏やかに聞ける状況じゃないのに――。

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