忘れな草の恋 30

30-07 ダメな部分 ページ7

■ LeeTeuk ■

話の本題に入る前触れなのか、はたまた僕が思っているより体調が優れないのかｳﾆｮｸが大きく息を吐き出した。

それと同時にﾋﾁｮﾙがｷｭﾋｮﾝから返事があったか、と訊いて来た。

手元にある携帯は鳴く事もなければ震える事もなく、僕は苦笑を浮かべて首を振った。

ﾋﾁｮﾙは舌打ちをしたけれど、苛々している感じではなくて“どうしようか”と何かを考えている感じに見える。

何でそんな感じなのだろう、と疑問符は飛んだが、一応暫く待ってみて連絡が来ないなら今度は電話をすると言った。

僕としても早く休んで欲しい。Aにもｷｭﾋｮﾝにも。

もちろん皆にもそう思っているのに、誰も帰ろうとしない。

だけど、皆さっきまでよりだらしない感じで座っているから、眠くなったらそのまま寝てしまえば良いという結論が出たのかも。

ｳﾆｮｸはまず、はっきり言って欲しいか、ｵﾌﾞﾗｰﾄに包んで欲しいか、と腕組みをし小首を傾げてﾄﾞﾝﾍに問い掛けるようにして確認を取った。

ﾄﾞﾝﾍ「……怖いけど、はっきり言って欲しい」

ｳﾆｮｸ「分かった。別にお前が悪い訳じゃないけど、でもお前はAを傷つけたと思う」

ﾄﾞﾝﾍの顔を覗き込むと一括りで言えば哀しそうな表情を浮かべていたが、そこから戸惑い、焦り、苦しさ、そう言った色んな感情が読み取れて悲痛に満ちていた。

いつもならｳﾆｮｸも結局はﾄﾞﾝﾍを甘やかせてしまうのに、今は表情も体制も何一つ変えない。

ﾄﾞﾝﾍの身体からまたふらりと力が抜けてしまうんじゃないかと考え、身体を支えるようにして隣に並んだ。

ｳﾆｮｸ「もう一度言っておくけど、別にお前が悪い訳じゃない。お前が悪くなるなら、Aも充分に悪いところはある」

僕もﾄﾞﾝﾍも。他の誰もがｳﾆｮｸの発言に驚いて目を丸くした。

ﾋﾁｮﾙ「あのA大好きバカが…盲目鰯が……今、Aを否定しやがったぞ」

ﾋﾁｮﾙなんて驚き過ぎてｳﾆｮｸに向かって指を差すほどだ。

ｳﾆｮｸ「してないよ！僕にとってはそんなところも堪らなく愛おしいんだから！」

そうだろうな…とは思う。

愛おしいから好きだからこそ、ダメな部分があれば指摘してあげたくなる。

だけど…僕にとってはAにダメな部分なんてない。

自分から話を聞きたいと言っておきながら、これにもまた少しだけ後悔していた。

ｳﾆｮｸの話は戸惑いを生んで僕の想いをぐらぐら揺らす。

ｳﾆｮｸは僕の知らない何を知ってる？

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