忘れな草の恋 30

30-38 過保護 ページ38

■ A ■

ｷｭﾋｮﾝと話をしながら帰路を辿っていて、もちろん楽しいんだけど少しだけ落ち着かない。

本当に過敏になり過ぎているのかも知れない。さっき公園で変な事を考えてしまったから、今も誰かに見られている気がして仕方ないのだ。

でもきっと、さっきのは私の勘違い。見渡しの良い場所だったし、風か猫ちゃんとかの仕業だと思う。

勘違いをした事によって、すぐにお開きする事になってしまって…気を遣わせたかなぁ…。

ｷｭﾋｮﾝ「お、ごめん」

ｷｭﾋｮﾝが右手に持っている袋を左手に持ち替えてﾎﾟｹｯﾄの中を漁り出す。

そして携帯電話を取り出し画面を見るなり少し眉をひそめて、次には私を見下ろして「出なくても良いと思う？」と訊いて来た。

A「知らない番号？その場合、私はﾘｸに出るなって言われてるよ？危ないからって！」

ｷｭﾋｮﾝ「うん、ほんとそうして？Aは何かしら危なっかしいから」

微苦笑を浮かべながら頭を撫でて来るｷｭﾋｮﾝだが、今って私の話をしてたんだっけ？

ｷｭﾋｮﾝ「知らない人と話すのもダメだけど、着いて行ってもダメだからな？猫がいっぱいいるところに連れて行ってあげるって言われてもダメ！分かった？」

猫ちゃんがいっぱい……すんごい楽しそう。とてつもなく癒されそう。

ｷｭﾋｮﾝ「……楽しそうとか思ってるだろ」

心の声を漏らしてしまっていたのかと思って慌てて顔を上げると、ｷｭﾋｮﾝはじっとりと目を細める。

ｷｭﾋｮﾝ「ダメだからな！もし猫ちゃんﾊﾟﾗﾀﾞｲｽみたいなところに行きたいなら俺が連れてってあげるから、知らない人とは行ったらダメ！」

A「そんなﾊﾟﾗﾀﾞｲｽがあるの？！」

ｷｭﾋｮﾝ「いや…知らないけど。ていうか食い付くとこはそこじゃない！知らない人に着いて行くなって事！」

ｷｭﾋｮﾝの目はより一層細まり、私は慌てて「はい！」と返事をしながら何度も頷いた。

ｷｭﾋｮﾝ「……ﾘｸさんの過保護っぷりが何か分かる気がするよ。放置するのが恐い」

本当にﾘｸが言いそうな事をｷｭﾋｮﾝからも言われて少し落ち込んでしまいそうだった。

良い大人なのに…すみません…。ですが、その…今って私の話でしたか？

電話…さっきからずっと鳴ってる…。

A「あの…電話…大丈夫？やっぱり知らない番号？」

ｷｭﾋｮﾝ「いや……うちにも過保護な人がいてさぁ」

ｷｭﾋｮﾝは困ったように眉を下げて溜め息をついているけれど、誰の事なんだろう。

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