忘れな草の恋 30

30-25 目標はｼｳｫﾝ兄さん ページ25

■ KyuHyun ■

確かに初耳だったが、Aの動画検索の中にｹﾞｰﾑの映像が混じってあるのは知っていた。

自分の好きな歌に、これまた自分が好きなｹﾞｰﾑの動画を合わせる。いわゆるｵﾀｸと呼ばれる人が作ったものだと思ってたからｽﾙｰしていたが…。

違ったんですよ。俺の愛する人は、世界的にも有名なｹﾞｰﾑの主題歌を作った神様だった。

これは帰ったら速攻で動画をﾁｪｯｸせねば、と思ったほどにﾃﾝｼｮﾝが上がった。

でも俺はまだそのｹﾞｰﾑには手を付けてなくて、帰って速攻でｿﾌﾄを購入しなければ、とも思って人生の楽しみを見つけた気分だった。

大袈裟だと思われるぐらいにﾃﾝｼｮﾝがMAX値を振り切ったが、ｵﾀｸだとは思われたくなかった俺は頑張って顔に出さないよう心掛けた。

ところが…、うちの女神がまた更に凄い事を言って来たもんだから…。

何でもそのｹﾞｰﾑの世界の中でも…歌ったんだって。つまりその世界の登場人物になったという事だ。

凄く良い経験だった！と嬉しそうにはしゃぎながら語るAがまた可愛過ぎた。

これには辛抱堪らず、握手して下さいと手を出してしまった始末。何ならｻｲﾝも貰おうかと思ったくらいだ。

ﾁｬﾝﾐﾝはそれを知っているのかと訊いてみれば、あの野郎はちゃっかりとｹﾞｰﾑｿﾌﾄを購入してやがった。

そんな話は今まで一度も聞いた事がない。が、あいつはそういうやつなのだ。

特別に気に入ったものは易々と人に教えないやつ。自分一人で楽しむやつ…。実は俺もそっち派だから偉そうな事は言えない。

俺が誰よりも先にこの人に会っていたら、誰にも言わなかったと思う。

そう思うとさぁ、何でｳﾆｮｸ兄さんの部屋に来たの？

俺だけしかいない時に……“女神降臨！”って来れば良かったのに…。

とか言いながら…あの時俺はこの人を少し怪しんでいたんだから、警察を呼ぼうかと言った時に止めてくれた兄さん達に感謝するべきなんだけども。

A「ん？どうしたの？」

ｷｭﾋｮﾝ「ん？ただ可愛いなと思って見てただけだよ」

うん…何か慣れて来た。ｽﾑｰｽﾞに出せるようになって来た、と思っている俺とは違って一向にこの言葉に慣れないA。

かっわいー！と、ﾄﾞﾝﾍ兄さんっぽくは言えないけど、むしろ言えなくて良い。

ｵﾀｸとも思われたくないし、ﾁｬﾗいと思われるのも嫌だし。

俺の目標はｼｳｫﾝ兄さんだ。あ、無論あくまでも紳士っぷりを発揮している時限定で。

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